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2007年6月21日 (木)

〈大阪映画〉はイチビリ精神の源!?

「イチビルってなんですか?」                   エッセイスト 武部好伸

 昨今、大阪弁が全国津々浦々に浸透してきているはずなのに、大阪人(ひろく関西人)以外の人には、いまだに「イチビル」だけはなかなか理解してもらえません。権威ある『大阪ことば事典』(牧村史陽編)には、「調子に乗ってはしゃぐ」「ふざける」などと説明されています。たしかにその通りなのですが、簡単に言葉で言い尽くせぬところに「イチビル」の深さがあります。感覚でとらえるニュアンスみたいなもので、「イチビル」を体感したとき、「大阪人でよかった」とぼくはしみじみと実感し、うれしくなってしまうんです。

Rimg0004 昨年暮れに封切られた映画『かぞくのひけつ』(小林聖太郎監督)は、それこそ出演者もスタッフもイチビリまくっていました。庶民の町、十三の商店街を舞台に、浮気癖のある不動産屋の父親(桂雀々)、やきもち焼きの勝ち気な母親(秋野暢子)、父の若い愛人(ちすん)の三角関係を通して、家族のあり方をコミカルに描いた作品です。

 これをまともに撮れば、シリアスすぎて胃が痛くなる。が、みな困難な事態に直面しても、そうガチガチにならず、ギャグのひとつでも言って笑い飛ばすほど心がまったりしています。家族の会話のなかにも、ちゃんとボケとツッコミがありました。

Rimg0006 公開に先立って開かれた記者会見も堅苦しいところがいっさいなく、和気あいあいとしたムードに包まれていました。そして笑いが渦巻いていました。〈大阪映画〉はこうでないとアキマヘン。

 これぞイチビリ精神! それは場の雰囲気を悪くさせないようにする大阪人の気配りの表れで、いわば才覚でもあります。心にゆとりがないと絶対に生まれません。この気概は立派な大阪ブランドだとぼくは思っています。イチビリ精神のない大阪(大阪人)なんて……、蛸の入っていないたこ焼きとおんなじです。もちろん、生っ粋の浪花っ子であるぼくはめちゃイチビリです!!

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