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2007年9月 6日 (木)

「ケルト」の発想を大阪に~!

エッセイスト 武部好伸

この夏、執筆テーマのひとつ、「ケルト文化」を探るため、アイルランドを旅してきました。7年ぶり4度目のアイルランド。「ケルティック・タイガー」と呼ばれる高度経済成長に少し翳りが出てきたとはいえ、まだまだ活況を呈しており、首都のダブリンではあちこちでクレーンが天空に伸びていました。かつての日本のような建設ラッシュ! 薄汚かった裏通りもめっきり美しくなり、裕福になったせいか、肥満の人が増えていました! そしてアイルランド語(ケルト語の一種、ゲール語)の表記が目に付きました。

アイルランドは、12世紀からお隣のイングランド(のちに大英帝国)の植民地になり、完全に独立したのは1949年です。元来、ケルト系の人たちがケルトの文化と暮らしを享受してきましたが、800年にもおよぶ異民族支配によって外国文化に覆われ、気がつけば、母国語のアイルランド語にとって代わり、英語が日常語として使われていました。憲法上の公用語はアイルランド語で、英語が第2公用語になっています。現実はしかし、西部の一地域をのぞくと、英語オンリーです。

Photo 固有文化の消滅! そんな危機感から、2年前、アイルランド語を日常的に話す地域(ゲールタハトと呼ばれています)では、アイルランド語の表記だけを掲げ、それ以外のところでもアイルランド語と英語を併記するようになりました。さらに今年からEU(欧州連合)内では、アイルランド語が公式言語であると認められました。言語こそ、文化の象徴だと言わんばかりです。

Photo_2 アイルランド語を使うということは、言わばケルト人であるという証しです。今日のアイルランド人が、果たしてDNA的に古代のケルト人の末裔かどうかは大いに疑問の余地がありますが、国家として「ケルト」(Celt)を前面に打ち出しており、それがアイルランドのブランドになっています。Celtic lodge、Celtic company、Celtic victor、Celtic cab……。町を歩くと、社名や船名などやたら「Celtic」の文字が眼に入ってきます。

文化に裏打ちされたブランド。それは万人を納得させます。わが大阪にも、言語的には「大阪弁」という立派な方言があります。これを生かさない手はないのでは!? アイルランドの田舎でふとそんな思いが胸をよぎりました。

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