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2007年10月 9日 (火)

ユーレイはやめられない

落語家 林家竹丸

 9月も残暑が厳しかったですね。大阪市で真夏日にならなかったのは4日間だけだったそうです。暑い季節に舞台でよくかかるのが、幽霊が登場する落語です。

 落語は笑う噺ばかりとお思いかもしれませんが、コワ~イのもあります。東京落語の「怪談牡丹燈籠」「真景累ヶ淵」などがそうです。上方落語の場合は、怪談かな?と思わせておいて、最後に笑いになるパターンが多いんです。お菊さんが「いちまい、にまい・・・・・・」と皿を数える「皿屋敷」がその代表格でしょう。ただ、大阪でも夏場の趣向としてマジの怪談をやることがあります。

070803_2104  この夏、私の師匠、林家染丸が天満天神繁昌亭で演じたのが怪談「お紺殺し」。幽霊が出る場面になると照明を落とし、幽霊に扮した弟子たちが客席を回ってお客さんをおどかします。怪談独特の演出です。女性客が「きゃ~」「いや~ん」と騒いでくれれば大成功、ちゅうわけです。不肖私も幽霊役に大はりきり。楽屋で先輩に白塗りの化粧をしてもらい、白装束に身を包みます。幽霊のお面がくっついた、ざんばら髪のかつらをかぶれば出来上がりです。どうです、恐ろしいでしょ。(写真)

 本番では、私は舞台に上がり、落語を演じる師匠の横に現れることになりました。客席係からの大抜擢ですな。ヒュ~ドロドロというおなじみのお囃子とともに幽霊たちが出動、私が舞台に出ると客席から「こわ~」という声が。いやぁ、ユーレイ冥利につきます。「迷わず成仏いたせ」「ならぬならぬ、ともに奈落へ連れゆかん」と続く師匠のせりふの間、心かけていたのはただ一つ。舞台でコケないこと! 幽霊が足をすべらせようものなら、爆笑噺になってしまいますからね。

 すっかりハマった私、舞台がすんでからも白塗りのままはしゃいでいると、師匠が「幽霊、はよ顔洗え!」。一同、大笑いのうちに楽屋をあとにしたのでした。

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