大阪ブランド情報局

国際観光戦略を作れる人材の育成をめざす

帯野久美子さん

 「自分のキャリアアップを整理するために、秘かに大学院の講義を受けてみよう」。翻訳・通訳会社、インターアクトジャパン(本社・大阪市)を経営する帯野久美子社長(57)は3月、和歌山大岸和田サテライト(大阪府岸和田市)のセンター長を訪ねた。ところが「そんなに余裕があるなら、大学の経営を手伝ってほしい」。このことがきっかけで、帯野さんは8月、和歌山大の理事・副学長に就任する。
 同大はこの4月、観光学部を開設した。国立大では初めての学部という。帯野さんは「日本文化を理解したうえで国際観光戦略を作れる人材を育てたい」と言い、本人も教壇に立つ。教室とフリンダース大学(オーストラリア)をスカイプで結んで、英語での双方向授業だ。

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 帯野さんが観光に関わりをもったのは、01年に世界観光機関(WTO)大阪総会が開かれたころから。講師、シンポジウムのパネリストなどを重ねているうち、依頼されて国際観光振興機構(日本政府観光局JNTO)の理事などの公職に。大阪の観光戦略の処方箋を尋ねたら、「大阪には古代から先端技術までの多様な観光素材があるのに、これらがばらばらで結びついていない。ネットワーク化すべきだ。住みやすく、きれいなまちづくりを進めることも必要だ」
 追手門学院大を卒業した後、聖ミカエル国際学校(神戸市)、甲南女子大大学院などで英語を修め、個人で活動を開始、85年に現在の会社を設立した。「時の流れとともに仕事をやって来た」と自身の歩みと関西の国際化の流れを重ね合わせる。
 創業時の80年代は「国際化」が叫ばれ、海外展開を始めた企業の翻訳や自治体の海外プロモーションに追われた。バブル期には国際会議が盛んになり、平和、環境、教育、金融など様々な分野の国際会議の舞台裏を走った。そして、バブルが崩壊した90年代、海外進出する関西企業のコンサルタントとして海外を走り回った。最近では、日本に進出する外資系企業を中心に、インターネットで世界をつないで仕事をしている。 関西経済同友会の常任幹事で、去年6月から大学改革委員会委員長。副学長に就く前の7月、提言を発表した。「大学は特色ある教育をするべき」「学長のリーダーシップと責任の所在を明確に」。まさか、自分にはね返ってくることになるとは。12年前に元丸紅副社長、中村龍平氏と結婚、〝財界人コンビ〟に話題になった。
(文:七尾隆太 写真:ショーン・ケンジ・マドックス)

取材日:2009年11月27日
〔参考〕
株式会社 インターアクトジャパン http://202.229.66.221/
和歌山大学 http://www.wakayama-u.ac.jp/