大阪ブランド情報局

石田梅岩の教えを普及

長谷川惠一さん

 江戸中期の思想家、石門心学の石田梅岩(1685~1744)が再評価されている。その教えを学び、普及させようと、社団法人心学明誠舎(堀井良殷理事長)が220年余りも前から活動を続けている。事務局を預かる大阪市浪速区、学校法人エール学園の理事長、長谷川惠一さん(62)は「企業の不祥事が続いていることから、梅岩の商人哲学をきちんと見直そうとの考えが広がっている」と話す。明誠舎の副理事長を務めている。
 梅岩は現在の京都府亀岡市生まれ。京都の商家で奉公しながら「道」を修めて商人、町人らを相手に各地で講座を開いた。
 長谷川さんによると、梅岩は倫理、商人道などを平易に説いている。身分社会にもかかわらず商売を正当に評価し、商人の原点は勤勉、倹約、正直にある、と説いた。また、商いのあり方について「先も立ち我も立つことを思うなり」と、常に相手の目線でものごとを考えるよう教えている。
 心学明誠舎は1785年、梅岩の弟子に当たる人が大阪・南船場に設けた。1905年文部省(現文部科学省)の社団法人第1号に認可され、戦争などで中断したこともあったが、消滅は免れた。こうした塾は現在、大阪だけという。今年度は、小嶋淳司・がんこフードサービス会長、和田亮介・和田哲会長らを講師にセミナーやサロンなどを開催。また、講演会で上田正昭・京都大名誉教授が「石田梅岩の学門と思想に学ぶ」の題で話した。こうした集いは今年度は約10回に及ぶ。

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長谷川さんは83年にエール学園理事長に就任。同学園には国際コミュニケーション学科、コンピュータービジネス学科などに年間延べ約2000人が学んでいる。中国、韓国始め約40カ国からの留学生がいるという。
 同学園は、ミッション(使命)として「お互いに共に活かしあい、高め合って生きていけるような共生共創社会を創造できる人材を育成する」と掲げ、「自己実現」と「他者支援」をバリュー(価値基準)としている。そのうえで、21項目の具体的な行動指針を作っている。「ミッションやバリューを作成する際、梅岩に学ぶことが多かった」という。
 大阪ミナミの活性化の活動にも積極的に参加、現在、「ミナミまち育てネットワーク」の執行役。長谷川さんらはミナミで制作されるアニメ作品を携えて、04年は「平成の遣唐使」を中国・上海市へ、07年は「平成の遣隋使」を中国・西安市に派遣、それぞれ中国の大学生らと交流した。「遣隋使」では長谷川さんが団長を務めた。
(文:七尾隆太 写真:谷川瑠美)

取材日:2009年10月26日

〔参考〕
学校法人 エール学園 http://www.ehle.ac.jp/ehle/