大阪ブランド情報局

「創造性の取引所」をめざす

野村卓也さん

 「大阪創造取引所」――名前を聞いてのぞいて見たくなるような〝取引〟が10月末の2日間、堂島リバーフォーラム(大阪市福島区)であった。堂島といえば、会場からほど近いところに江戸時代、先物取引所「堂島米会所」があった場所。プロデュースしたスーパーステーション(本社・大阪市)の野村卓也社長(56)に聞いたら、名前はやはり、先物取引所から発想したそうだ。
 「製造業はこれから、製品の性能、機能、価格だけでは競争できず、使い勝手、楽しさ、かっこよさ、面白さといった要素を求められるようになる。一方、関西には面白い発想をしたり、人を感動させたり、美しいデザインを描いたりする能力のある人材が豊富だ。それなら、両者の出会いの場を作ったら」というわけだ。「ひと言で言えば、創造性を取引する場所」という。
 取引所にはそんな創造性のある企業、研究機関、大学など40社、対する買い手は34企業・団体が集まった。2日間で750件を上回る商談があったという。コンテンツ産業の活性化をめざし、近畿経済産業局,、関西経済連合会が主催して、この秋関西一円で開いた「クリス関西」のイベントの一つで、創造取引所は2回目。野村さんは、一過性の企画に終わらせないために参加者を中心に年に何度か集まれる「創造取引クラブ」を発足、将来は常設の取引所にしたい考えだ。
 今年8回目を迎えた学生映像コンテスト「BACA‐JA」(関西テレビ主催)の企画運営も手がけている。全国の芸術系、メディア系の大学、専門学校生から映像コンテンツ、ネットワークアートの2部門の作品を募集して優秀作品を表彰する制度。若いクリエーターを発掘、育てるのがねらいだ。

Nomura1 Nomura2

 野村さんは関西大を卒業して広告代理店に勤務した後、92年に現在の会社を設立した。「プロジェクト・デザイン」、つまり行政や企業から依頼された様々なテーマ、課題について全体構想を企画、目標を達成するまでプロデュースするのが主な仕事。90年ごろ、講演会で「ブロードバンド(高速大容量)ネットワークの時代が来る」という話を聞いて「世の中が大きく変わりそうだ」と直感したという。
 関西でのコンテンツ産業の見通しについて、「アニメ、コンピューターグラフィックス(CG)など狭い意味のコンテンツ産業は、関西では出口が限られるので集積が難しい。クリエーターの発想、創造力を発揮させる仕組みが必要だ」と話し、今後も人の出会いと交流から生まれる「大阪らしいイノベーション」の仕組みづくりを目指す。
(文:七尾隆太 写真:谷川瑠美)

取材日:2009年11月20日

〔参考〕
 ㈱スーパーステーションhttp://www.superstation.co.jp/
BACA-JA  http://www.ktv.co.jp/baca/
クリス関西 http://criskansai.jp/