大阪ブランド情報局

「もう一つの大阪」を見つける旅づくり

泉 英明さん

 まちの真ん中にある大阪水上バスの淀屋橋桟橋(大阪市北区)。ビルの谷間に望む生駒山上からご来光が上り始めると、集まった50人余りの〝旅人たち〟の間から歓声があがり、シャッター音が響く。あかね色に染まった土佐堀川の風を受けながら飲むコーヒーの味は格別だ。
 NPO法人 もうひとつの旅クラブが主催する「ご来光カフェ」。生駒山上に朝日が見える10月1日から8日間だけの限定イベントで、06年から始まった。理事長のまちづくりコンサルタント、泉英明さん(37)は「都市の中の大自然を感じてみるのがねらい。毎年大好評」と話す。
  もうひとつの旅クラブは「大阪の観光化されていない『もう一つの大阪』を再発見し、自分も旅人とともに楽しむのが目的」。02年11月に発足、07年から泉さんが2代目理事長に就いた。地域の暮らしが見える「大阪まち遊学」のプランを設定したり、シンポジウムを開いたり、知恵を絞った企画を実施して来た。土佐堀川にせり出した川床「北浜テラス」を実現する運動の全体のまとめ役も果たした。

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 現在、他グループと連携して取り組んでいるプロジェクトが「OSAKA旅めがね」。既存の観光コースにない普段着の大阪が体感できるような20近いツアーを設定、毎週末に実施中だ。「エリアクルー」と呼ばれる案内人が付いてくれる。例えば「レトロ近代建築とスイーツめぐり」。北船場の近代建築を訪ねながら、人気スイーツ店などにも立ち寄るという趣向。泉さんは「ビジネスとして続けるようにしたい」と言う。
 東京生まれ。手塚治虫の漫画を読んで「環境」に関心を強め、大阪大工学部環境工学科に進む。卒業してまちづくりコンサルタント会社に勤めたあと、04年に独立して有限会社ハートビートプランを設立した。社名は「人の心に響くまちづくりをしたかったから」と言い、「まちづくりのまち医者」を目指している。「プランを作って終わりではなく、一カ所に長く張り付いて地元とともに歩んで汗をかきたい」。高松市内でのまちづくりは約11年、東大阪では6年も続いている。
 まちづくりの専門家の立場から、大阪の課題について「わが国の都市計画やまちづくりなどの法律、制度の中には大阪から整備されたものが多いが、そうした意気込みが薄れて来たように思える。『北浜テラス』のように、地方都市でもやればできるんだということを見てもらうことが必要」と提言している。
(文:七尾隆太 写真:仲田千穂)

取材日:2009年10月2日

〔参考〕有限会社 ハートビートプラン http://hbplan.jp/
NPO法人もうひとつの旅クラブhttp://www.tabiclub.org/
OSAKA旅めがね http://www.tabimegane.com/