大阪ブランド情報局

伝統魚菜の復活、普及をめざす

笹井良隆さん

  田辺大根の羊羹、天王寺かぶらの魚貝黄味卸し酢和え、四十日芋のかすてら……。「おしながき」には大阪の伝統野菜を使った料理が並ぶ。住吉大社吉祥殿(大阪市住吉区)で11月に催された「なにわに美食あり」。大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会の企画イベントで、約30人が8品目の伝統野菜料理を楽しんだ。
 集いを監修したのは、NPO法人「浪速魚菜の会」の代表理事、笹井良隆さん(53)。料理が運ばれる都度、素材の由来、特徴などについて解説する。「かつて住吉周辺でも採れていた四十日芋は絶滅したと思われていたが、2年前に見つかって、現在、試験的に栽培されている」

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 「浪速魚菜の会」は、良質な浪速の伝統魚菜の復活、普及をめざして03年に発足した。「大阪の『食』は豊かで奥深いのに、求心力が弱くなっている。根底から見直さなければならない」。こんな考えから、消費者だけでなく、生産者、市場、飲食店、料理人などの幅広い食関係者を巻き込もうとしているのが活動の特徴だ。
 「知ってもらい、食べてもらい、買ってもらう」をモットーにいろんなセミナー、イベントを仕掛けている。今年は、淀川でとれた大阪べっこうシジミとなにわ野菜を食べる会、淀川のウナギを食べる会、大阪料理の復興を目指す老舗割烹・料亭との「大阪料理ルネサンス」のイベントなど開いた。去年は毎月のように、「大阪を食べる2008」を開いた。笹井さんが四季折々の食材を調達、料理店主の協力で料理してもらい笹井さんの説明付きで味わう趣向。毎回50~60人が参加、わざわざ関東から来た人もいたという。
 笹井さんは大阪・住吉生まれ。出版社に約7年間勤めたあと、独立して編集プロダクションを設立した。8年ほど前から京野菜、なにわ野菜をそれぞれ約2年がかりで取材、執筆活動しているうちに「食材のいわれ、物語、流通などに関心が強くなり、のめりこんでしまった」
 現在力を注いでいるのは、活動の事業化。今春から始めた「なにわもん市場」もその一つで、大阪の地野菜や伝統野菜に関して、生産者、飲食店、消費者間をつなぐシステムづくり。「伝統野菜は形や量がそろわないので大手流通には乗りにくい。独自のルートが必要だ。システムを軌道に乗せて、私のあとに続く人を育てたい」
 食文化の季刊専門誌「浮瀬(うかむせ)」の編集長も務めている。掲載記事を中心に、食材25品目の由来から生産、流通までをまとめた『大阪食文化大全』(西日本出版)を近く出版する。
(文:七尾隆太 写真:仲田千穂)

取材日:2009年9月17日

〔参考〕
浪速魚菜の会 http://www.ukamuse.jp/