大阪ブランド情報局

オフィス街を大人が楽しむまちに

澤田充さん

  大阪の中心部を東西に貫く京阪中之島線が開通して1年余り。木の椋(むく)材を使った、なにわ橋駅から中之島駅までの4駅が辺りの風景になじんできた。新駅をプロデュースしたのは、ケイオス(本社・大阪市)の社長、澤田充さん(49)。「近年の駅は乗り降りする場所だけでなく、まちの財産。100年後のストックをつくるつもりで考えた。中之島は、大阪市中央公会堂の存在が大きいのでレンガのイメージが強いが、100年後には〝木の中之島〟になっているかも知れない」。木製の地下鉄駅はわが国では初めてという。

Sawada1 Sawada2

 中之島線からほど近い淀屋橋南西エリアでは、活性化プロジェクト「淀屋橋WEST」が進んでいる。仕掛け人は澤田さん。ビルのオーナー会社から1階にテナントを誘致したい、と持ちかけられたのがきっかけ。ねらいは「落ち着いて風格のあるまちの良さを生かしながら、大人が楽しめるまちにしたい」。03年5月に「入村の儀」を行ったときは、3店だったが、しゃれたレストラン、ショップ、ブティックなど47店に増えた。大阪市立愛日小の跡地に建った「淀屋橋odona」の2階部分には回廊型のウッドテラスが設けられ、界わいは進化。夜は閑散としていたビジネス街が、にぎわいのまちに生まれ変わった。澤田さんは「まちづくりに終わりはない。働くだけでなく、住宅、娯楽施設などもある多機能のエリアにしたい」と開発のプロセスをディスクローズする劇場型のまちづくりを目指す。 この一角から御堂筋を挟んだ北浜まで西側のエリア、「北船場」でもまちづくりに取り組んでいる。澤田さんは「こちらは、これまでのストックを掘り起こして、情報発信していきたい」と〝街の広報マン〟を自任する。06年9月に「北船場くらぶ」を組織。シンポジウム、料理教室、メールマガジンの発行などを続けている。北船場を紹介するムック「大阪北船場スタイル」をこれまで2号発行、来年は3号を出す。会員も約650人まで膨れ上がった。
 関西学院大に学び、リクルート大阪支社で9年間働いた後、93年にまちづくりプロデュースの会社を起こした。社名の「ケイオス」は混沌、天地創造以前の状態の意。「時代が変わる転換点。新たな価値を生み出したい」
 東京での仕事も増えたが、澤田さんは「東京では大阪の情報は入って来ないが、大阪におれば東京の情報が入る」と拠点を大阪から移す考えはなさそう。大阪に元気を取り戻すには「生活の質を高め、暮らしやすさが増せば企業も増える。まちづくりを、大阪人だけで固めようとしないで、縁もゆかりもない異分子を入れる度量が必要だ」と明快だ。
(文:七尾隆太 写真:谷川瑠美)

取材日:2009年9月26日
〔参考〕北船場くらぶhttp://www.kitasemba.net/ 
    ケイオスhttp://www.chaos-chaos.com/
    淀屋橋WEST http://www.yodoyabashiwest.com/