大阪ブランド情報局

アーティストと社会の橋渡し役

中西美穂さん

  「アーティストになりたいが、先生は就職を勧める」「海外で展覧会を開いたが、大阪でもやりたい」――。アートマネジャー、中西美穂さん(40)が代表理事を務めるNPO法人「大阪アーツアポリア」(大阪市港区築港)には、アートにまつわる様々な相談が寄せられる。相談日は週2回。大阪市の受託事業として06年末から始めた。「言葉足らずのアーティストやミュージシャンは多い。ちょっと言葉を足してあげたり、スケジュールを調整してあげたりすると内容が違って来る」。アーティストと社会の橋渡しが中西さんの役柄だ。「電話番、受付、ごみ捨てなどもします」
 大阪・築港の赤レンガ倉庫を活用してアート活動をしていて知り合ったグループで「大阪アーツアポリア」を組織、03年11月にNPOの認証を得た。「アポリア」はギリシャ語で「答えのない難問」の意。中西さんは「難問こそ私たちがかかわって行きたい場所。現代アートの企画やアーティストと鑑賞者の出会いの場づくりなどを通してアートの振興を手助けするのがアポリアのねらい」と話す。中心メンバーはミュージシャン、版画家、造形作家、ビデオアーティストの4人。
 中西さんは大阪生まれ。京都精華大美術学部で立体造形を学び、中学、高校の美術科の教師を2年。その後、京都のギャラリーでアシスタント、パリの日系商社で貿易実務2年半、帰国後、キャリアを生かしてアートマネジャーへの道を歩む。日本アートマネジメント学会の会員として研究にも取り組む。

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 大阪市内最古の堀川、東横堀川。水辺はじめ木の上、店先などにいま、色とりどりの巣箱が設置されている。竹筒に三角形の瓦屋根、天辺にちっちゃな風見鶏。巣箱はアーティスト井上信太氏(京都府在住)のデザインで、小学生らが色付けした。川を生かしたまちづくりに取り組む「東横堀川水辺再生協議会」(愛称:e-よこ会)が主催する「巣箱づくりプロジェクト」。中西さんら「大阪アーツアポリア」に声がかかり、井上さんとともに企画参加している。水辺を楽しむこのイベントは10月22日まで続く。
 東横堀川からほど近い山本能楽堂では2年前から年2回、子ども向けに「アートによる能案内」を開いている。能で使ういろんな小道具を工作させ、その後で能を鑑賞、親しんでもらう仕掛けだ。
 中西さんは様々な活動を通じて「大阪人はアート心にあふれている。行政は、企画などを市民に思いっきりまかせたら、海外へも発信できるのでは」ときっぱり。日ごろアートを楽しめない入院中の子どもたちなどのためのアートイベントの企画を温めている。
(文:七尾隆太 写真:谷川瑠美)
                           
取材日:2009年8月1日

〔参考〕
NPO大阪アーツアポリア http://artsaporia.exblog.jp/
巣箱づくりプロジェクト http://mihapro.exblog.jp/