大阪ブランド情報局

大阪を拠点に二つの劇団を主宰

わかぎゑふ さん

 劇団「リリパットアーミーⅡ」の春の公演「罪と、罪なき罪」が8日から、大阪・世界館で始まる。わかぎゑふ座長の脚本・演出、自らも舞台に立つ。明治の開国のころの事件を素材にしたエンターテインメントで「キーワードは『ほろ苦い』」と座長。大阪公演(15日まで)のあと東京、福岡に移る。

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 リリパットは娯楽作品を中心にした小劇場の劇団だが、わかぎさんはもう一つの劇団「ラックシステム」も主宰する。こちらは主に大阪弁の人情ものを上演、「お見合い」「おたのしみ」などと、「お」で始まるタイトルでも知られる。
 漫画家になりかったほど絵を描くのが好きだったが、高校生のころ、大学生の先輩に舞台に引き込まれる。そのときついた芸名が、先輩の姓の「わかぎ」、本名の鈴木芙紀子のイニシャルの「えふ」。01年に「大人の名前にしよう」と、わ行の「ゑふ」に改めた。
 大阪生まれ。21歳で上京、5年余りの役者生活の後、85年に帰阪して大阪を拠点に小劇場演劇に本格的に乗り出した。大阪ものにこだわるのは「大阪弁の劇場、芝居がない」と気づいたから。
 父が長唄、母が踊りを教えていた影響もあって、古典芸能にも造けいが深い。06年には東京・歌舞伎座で坂東三津五郎主演の舞踊劇「たのきゅう」の脚本、衣装デザイン、演出を手がけた。07年には新作狂言の脚本、出演も果たした。
 小柄ながら、活動は多彩でエネルギッシュ。睡眠は「平均すれば2、3時間」という。芝居のほか、新聞、雑誌、週刊誌などに連載中のエッセーなどが「10本ぐらいかな」。著書も『大阪の神々』『大阪弁のひみつ』『大阪人のおきて』など20冊近い。
 わかぎさんの話は軽妙で歯切れいい。芝居の相手役にされたような気に。
 「大阪人らしい大阪人」を自任していますが? 「基本的にものおじせず、年上の人と構えることなく話ができる度胸があるのが大阪人」
 大阪での活動は不利なのでは? 「東京では毎日のように芝居がかかっていて、あらゆるところに演劇人がいるので、自分の走っているスピードがおっつかない気がする。たまに行くのがいい」。その大阪の演劇界は? 「冷え切っている。大阪の金の卵のような役者を育てられるプロデューサーがいないから、東京に行ってしまう」
 これからは、歌舞伎を含めた古典の演出をもっと手がけたいという。「日本人は古典を見失ってしまったから」
(文:七尾隆太 写真:ショーン・ケンジ・マドックス)

取材日:2008年2月14日