大阪ブランド情報局

長屋の再生で街の魅力アップ

六波羅雅一さん

 入り組んだ石畳の路地、石段の坂、数々の長屋。祠(ほこら)や井戸……。大阪・上町台地の西斜面に位置する空堀界わいは、先の戦災から免れ、昔ながらの町並みが残されている。 
 20年前、この一角に事務所を構えた六波羅真建築設計研究室の六波羅雅一代表(47)は、ぬくもりのある街の魅力に引き込まれた。一方で、長屋が廃屋や空き地になっていく光景も目の当たりにする。「古い建物を残せないか」。六波羅さんは友人らに呼びかけ、01年4月、「空堀商店街界隈長屋再生プロジェクト」、愛称「からほり倶楽部」を発足させた。約40人が集まった。地元だけでなく、大阪一円、奈良の人も加わった。

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 商店街から脇道にそれたところに、空き家同然の二軒長屋があった。地主は解体して青空駐車場にしたい考えという。六波羅さんらは、保存・再生計画を地主に提案、了承を取り付けた。02年夏、長屋はカフェなど9店が入居する複合ショップ「惣」に生まれ変わった。「惣」は江戸時代の大坂町衆の自治組織の意という。
 03年2月に「練」、04年8月には「萌」と名付けた長屋複合施設も完成させた。いずれも、同倶楽部が運営管理の手助けをしている。「練」には14店が入居、六波羅さんも事務所をここに移した。「練」は瓦を練りあげる「土練」からつけたという。第3弾「萌」の再生では、街の歴史・文化を紹介する施設を、とこの辺りで生まれ育った作家、直木三十五の記念館を計画。2階に約40平方㍍の記念館の開設にこぎつけた。直木が芥川龍之介にあてた直筆の手紙、写真や掲載雑誌などが展示されている。資料を求め、会員が大阪中の古書店を探し歩いた。
 長屋の再生だけでなく、スタート当初から毎年秋、商店街界わいで「からほりまちアート」を開いてきた。アートを楽しみながら街に親しんでもらおうとのねらいで、展覧会、ライブ、マーケットなど内容は多彩。去年のまちアートでは約80人が絵、写真、立体作品などを63カ所で展示した。
 からほり倶楽部会員は約160人まで増えた。代表理事の六波羅さんは「長屋に住みたい、出店したいという問い合わせが来るようになった。夢があるようなイベントも考えながら、活動を続けていきたい」。街は若者の人気スポットになってきた。
(文:七尾隆太 写真:仲田千穂)

取材日:2008年3月28日

[参考]
からほり倶楽部 http://www.eonet.ne.jp/~karahoriclub/
六波羅真建築設計研究室 http://members.aol.com/Rmasa/ROKHP.htm