大阪ブランド情報局

大阪の演芸文化の継承を支援

中井政嗣さん

 早春の3月、大阪市西淀川区の野里本町商店街の真ん中で演芸ショーが開かれた。名付けて「のざと寄席」。漫才、漫談など芸人約10組が出演、2日間にわたり買い物客らに笑いを振りまいた。この出前寄席を企画・運営したのは「関西演芸推進協議会」。専務理事の中井政嗣・千房社長(62)は「若手芸人の舞台出演のチャンスをつくり、同時に商店街を活気づけるのが目的」と話す。

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 同協議会は、関西の演芸文化の普及、芸人活動の支援のための組織で、中井さんが発起人となって07年4月に発足、NPO法人の認証も得た。会長は小野幸親・相互タクシー社長、落語家で関西演芸協会長の桂福団治さんらが副会長を務める。コシノヒロコさんのデザインで、「笑い」の文字入りの法被もつくった。芸人を育てるだけでなく、「よりよき鑑賞者を育てる」ことも目的にしている。事務局は千房本社(大阪市浪速区)内に置かれ、会員は約400人。
 関西には落語、漫才始め、浪曲、講談、奇術、曲芸、音楽ショーなど多彩なジャンルの芸人たちがいる。だが、「大手プロダクションに所属していないと、舞台に上がる機会も少なく、芸で食べられる人は一握り」。中井さんが大阪ミナミの道頓堀商店会長をしていた 01年ごろ、知り合いの福団治師匠から、芸人活動のサポートを持ちかけられ、協議会設立に踏み切った。道頓堀にはかつて「道頓堀5座」があり、演芸とともに「食」が栄えてきたという。中井さんは「テレビで一発芸や短いコントをするタレントではなく、本格的な若手芸人を育てたい。そして、本物の話芸を生ライブで楽しめるようにしたい」。
 協議会は2月末、御堂筋のそごう劇場で3回目の「笑(わ)らいぶ」を主催した。こうした定期ライブショーのほか、勉強会、演芸に関する情報発信などに取り組み、関西演芸大賞の創設も検討中という。
 中井さんは中学卒業後、乾物屋に奉公。28歳でお好み焼き店「千房」を起業、年商約55億円の企業に成長させた。経営のかじ取りをしながら、37歳で大阪府立桃谷高(通信制)に入学、卒業にこぎつけた経緯をさらりと話す。こうした体験をまとめて著書『できるやんか!』(潮出版社)を出した。社会教育家としても活動、講演依頼も引きも切らない。
 「笑は商なり、笑は正なり、笑は昌なり、笑は勝なり。芸人の支援活動をライフワークとして誠実に続けたい」。自前の演芸ホールを持つのが夢だ。
(文:七尾隆太 写真:ショーン・ケンジ・マドックス)

取材日:2008年4月9日

[参考] 
関西演芸推進協議会 http://www.walive.org/