大阪ブランド情報局

日タイ間の異文化交流に活躍

松尾カニタさん

 ある日はラジオのパーソナリティー、ある日はウェブサイトの取材。講演やシンポジウムのパネリストとして壇上に上がることも。滞日28年、タイ出身の松尾カニタさん=大阪府吹田市在住=の活動範囲は広がる一方である。「ばらばらのようだが、考えてみればいずれも情報発信の仕事ですね」と松尾さん。

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 最近、時間を多く割いているのはウェブサイト・プロデューサーの仕事。今年初めには「Y2K Media Corp」株式会社を設立した。若手デザイナー、プログラマーやカメラマンらとチームを組み、財団法人 大阪観光コンベンション協会のポータルサイト「OSAKA-INFO」にさまざまな大阪情報を発信するページをつくっている。
 例えば「くいだおれ大阪 食のライブラリー」。ありきたりの店舗紹介ではなく、なにわの伝統野菜、船場料理の12カ月やB級グルメ、大阪モダンといった目次が並ぶ。松尾さんは「ウェブ世代が何を求めているかを追求企画した」。一昨年に公開した「天神祭」は5カ国語の説明入りの映像ドキュメンタリー。祭りを支える神童、講元、奉仕者ら5人に焦点を当て、舞台裏の動きを時間軸で紹介している。松尾さんも、お茶出し奉仕に参加していたタイの女子留学生の姿を追ってカメラを回した。地図と映像で祭りや界わいを見せるページもある。「観光情報を伝えるにしても施設、イベントだけでなく、歴史、文化や大阪人の面白み、日本人の温かさを盛り込みたい」
 タイのタマサート大政治学部4年のときに「東南アジア青年の船」に約2カ月間参加、「日本で学びたい」との思いを強める。80年に来日して慶大大学院に進み博士課程を修了。京大東南アジア研究センター助手を経て、95年10月、多言語放送「FM COCOLO」の開局と同時にパーソナリティーに。週1回、「一度も休まず」リスナーにタイの情報を届けてきた。現在は、水曜午前6:30からの30分番組に出演。約10年前からNHK「関西ラジオワイドアジアワールドリポート」で毎週水曜夕方、タイを担当している。母国のマスコミ公社の報道デスクと電話回線で結び、毎週タイ語で日本の情報を伝えたり、タイ政府観光庁の日本向けガイドブックを作成したり、活動は日本にとどまらない。
 大阪・関西とアジアとの交流について松尾さんは、「国際化イコール欧米化の時代から、ようやくアジア重視の時代になってきたが、具体的な施策はまだ不十分。中国、韓国だけでなくタイ、インドなど東南アジアにも目を向けないとバランスを欠く」と語気を強めた。
(文:七尾隆太 写真:竹内 進)

取材日:2008年5月28日

[参考]
OSAKA-INFO 大阪観光情報 http://www.osaka-info.jp/jp/
FM COCOLO http://www.cocolo.co.jp/index.html