大阪ブランド情報局

都市空間を使いこなす仕組みづくり

山崎 亮さん

 JR大阪駅から大和路快速で約1時間半の島ケ原駅(三重県伊賀市)。駅前の広大な製材所がかつての林業の勢いをしのばせる。休業中のこの穂積製材所を活用したユニークなプロジェクトが進んでいる。愛称「ホヅプロ」。木材に触れるさまざまなプログラムを通して、都会と地域の交流、森林への理解を深めようという考えだ。
 提案者は、大阪・梅田に事務所「Studio-L」を構えるランドスケープデザイナー、山崎亮さん(34)。去年初め、招かれて伊賀市内でまちづくりをテーマに話した折り、同製材所のオーナーから「製材所を取り壊して公園にしたい」と設計を頼まれた。現地を訪ねたら、大量の木材や製材機具はそのまま。山崎さんはひらめく。「都会から週末、家族連れで来て、製材所を使って自分だけの本棚、机、いすなどを作ることができたら」

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 プロジェクトは去年夏から動き出した。大倉庫内に、滞在者が宿泊できる「寝どこ」10棟を建てることにし、作業希望者を募ったら大学生、社会人ら約50人が集まった。すでに「4畳半」の寝どこ2棟が完成。草花をふんだんに楽しめる共同広場もできた。今秋から泊まり込みのツアーも始める予定だ。
 ランドスケープデザインは都市の公園、広場など主に公共空間を造園や植栽などで設計・構築することをいう。山崎さんはデザインにとどまらず、使いこなすための仕組みづくりや実践まで踏み込む。有馬富士公園(兵庫県)では、NPOやクラブなどに参加を呼びかけて運営プランを作成、今では「水辺の生き物ウオッチング」「林の道づくり」など約40団体が活動している。
 「これからは『作ったもの』を『使っていく』時代」と、ソフト面の仕かけづくりの大切さを説く。丸刈りの精かんな表情は行動派のあかしだ。姫路沖の家島では「探られる島プロジェクト」を05年から実践中。グループで島内を歩き回り、島の魅力を島外人の目で発見し、冊子を作って島内外に発信続ける。
 ランドスケープデザイナーとして目下の関心は「人口減少時代のデザイン」。人口が減って空き家、空き地が増え始めた現在、地域をどのようにデザインし、マネジメントしたらいいのか。「大阪は全国の都市圏の中でも人口減少のスピードが最も早い」と重要性を問いかける。自ら大学の教壇に立つ一方で、東大大学院工学系研究科(博士課程)に在籍、このテーマを研究し続けている。
(文:七尾隆太 写真:ショーン・ケンジ・マドックス)

取材日:2008年5月9日

[参考]
Studio-L http://www.studio-l.org/
穂積製材所プロジェクト【ホヅプロ】 http://blog.canpan.info/hozupuro/