年末といえば・・第九
「第九」という呼称で親しまれているクラシックの名曲、正式名称はベートーベン交響曲第9番二短調作品125「合唱付」です。この交響曲は第1楽章~第4楽章(約70分)で構成され、私達がよく耳にする大合唱「歓喜の歌」は、第4楽章の最終部分。演奏時間はおよそ10分間です。
年末には、毎年日本全国100ヶ所以上でこの「第九」が演奏されるそうです。
名曲であることは間違いありませんが、数ある交響曲の中でなぜこの「第九」なのでしょうか?
定説はないようですが、オーケストラの収入が少なかった戦後まもない時期に、楽団員が年末年始の生活に困窮することがないよう、合唱団も含めて大人数が参加できる「第九」が演奏曲に選ばれた・・・という話が残っています。もちろん、当時この壮大な交響曲がクラシックの中では最も人気があったというのも理由の一つに違いありません。
また、「歓喜の歌」は独唱と合唱に分かれており、独唱はプロの領域ですが合唱はアマチュアでも歌えるように書かれています。クラシックを聴くだけでなく歌う側になって参加することができる・・・というのも「第九」魅力だったようです。
芸術性の高い交響曲に、親しみやすい「歓喜の歌」が取り入れられたこと、これが日本中で「第九」が演奏されるようになった一番の要因と言えるかもしれません。
2007年12月16日、満員のザ・シンフォニーホール。
関西フィルハーモニー管弦楽団による「第九」特別演奏会がありました。開演前には、指揮者の飯守泰次郎さんの丁寧な楽曲解説があり、クラシック初心者でも安心でした。(関フィルさんの演奏会では、よりクラシックに親しんでもらうため、毎回このような解説を演奏前に実施されているそうです。)
第4楽章、いよいよ「歓喜の歌」の旋律登場。まずは各楽器による主題演奏が始まり、少しずつ高揚していきます。ラスト10分、ついに待ちに待った独唱と合唱が加わりステージは最高潮へ。演奏者、観客全てが一体となり、割れんばかりの拍手とともに「第九」は幕を閉じました。
年末に何故「第九」?
理由はどうあれ、さまざまな危機や争いの続く厳しい時代に、「歓喜の歌」に包まれて1年を終えるというこの習慣は、なかなか素晴らしいものだと感じました。
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