上方文化再生フォーラム「今月の松竹座のみどころ」「上方歌舞伎いまむかし」
大阪・地元と、東京・早稲田大学のコラボレーションにより、「上方文化再生」を目的として開催されているフォーラム、その第3回目がTORII HALLで行われました。
ゲストは大阪松竹座 壽 初春大歌舞伎に出演中の片岡我當(かたおか・がとう)氏。演劇評論家の中村義裕(なかむら・よしひろ)氏との対談で上方歌舞伎の魅力に迫ります。
開催日の1月7日は片岡我當さんの73回目のお誕生日。
本当は、主催者側からサプライズで花束をプレゼントする予定だったそうですが、我當さんが会場に入って来られると同時に客席から”お誕生日おめでとう!”の声がかかりました。さすが歌舞伎ファンの皆さん、よくご存知です。
松竹座での昼の部舞台が終わってスグに駆けつけてくださいました。 (今回は「佐々木高綱」の高綱、「沼津」の平作を演じていらっしゃいます。)
<中村義裕さんの歌舞伎こぼれ話>
歌舞伎役者さんを呼ぶ際”我當丈(がとうじょう)”というように名前あとに丈という文字をつけます。なぜそう呼ぶのかについては、様々な説がありますが、歌舞伎ファンが”私だけ(丈)がひいきにする役者”という意味をこめて使った文字の音が変わって残ったものだという伝承があります。ファン心理としては頷けるところですね。
<我當丈の歌舞伎こぼれ話>
京都顔見世のまねき(長さ180cmもあるそうです!)についてのお話。素材はひのきの白木で、昔は毎年変えていましたが今は削って再利用しています。(3~5年で取替え。環境にも優しい歌舞伎です。)その形ですが、歌舞伎役者は上部がクロス(×)、芸人は入るの字(入)で区別されています。
※こういうお話、どこにも書いていないのでぜひ近所の人やお友達などに広めてください・・とのことでした。
昔の道頓堀には芝居茶屋が立ち並び、着飾って舟で茶屋に乗り付けるのがオシャレだったとか。旧歌舞伎座(現在のBIGカメラあたり)は2700席もの大ホールでしたが連日満席、当時の賑わいが目に浮かぶようです。
Q「現代的でわかりやすい役をよく演じられますが?」
A「歌舞伎は400年以上続く流動性芸術、お客様にわからないと敬遠されてしまったらおしまいです。時代ともに改善すべきところは改善しながら観客とともに歩むべきものだと思っています。」
Q「同じ演目を何度も演じることについては?」
A「回を重ねるほどに研究が必要になります。前の方がよかったなどと言われないよう、先人のつくったものにさらに磨きをかけていかねばなりません。それが先人への恩返しでもあり義務でもあると思っています。」
Q「今後手がけてみたいことなどありましたらお聞かせください。」
A「舞台は命がけです。”初芝居 一期一会を 心して”。 歌舞伎が世界文化遺産となり、さらに大きな責任を感じています。良いときほど浮かれず、心をひきしめて頑張ることが大切です。体を鍛えつつ、全身全霊をもってぶつかっていきたいと思います。」
会場では、歌舞伎を解説する初心者向けのDVDも紹介されました。(約16分間)
「若い世代に少しでも歌舞伎の魅力が伝えることができれば」と全国の学校などを訪問されているとのこと、歌舞伎に対する我當丈の熱い思いに包まれた2時間でした。
※今月の松竹座のみどころについては、次回ブログにてご紹介します。
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