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2008年2月 1日 (金)

大阪の魅力~ものづくりと精神文化~

Prex (財)太平洋人材交流センター主催のシンポジウム「関西の魅力を知る・生かす-世界都市、関西の実現を目指して-」が開催されました。
<日時>平成20年1月31日(木) 13:30~
<場所>piaNPO 大会議室
(財)大阪21世紀協会の堀井良殷理事長が「関西の魅力を再認識する」をテーマに行った基調講演をレポートします。

”ヤクザの街・大阪”。刺青の写真とセットで大阪を紹介するとある外国人旅行者向け情報誌に衝撃を受け、大阪を客観的に見つめ直し、魅力を発掘する作業をスタートしました。都市にも人と同様に「品格」が必要です。歴史的に「めぐりあいと集積の場」「創造と進取の地」であった大阪。その自信と誇りを取り戻すべく、さらに大阪の魅力を掘り下げます。

Prex_2 <ものづくりの伝統>
 現在の大阪には、高い技術力を持ったものづくり中小企業が集積しています。その始まりは8世紀頃、河内鋳物師(かわちいもじ)による銅の鋳造に遡ります。
瀬戸内海に面しているという地理的優位性も手伝い、西風に乗って大陸の技術が船で大阪へ運ばれました。ここで出会いと交流が生まれ、ものづくりのプラットフォームが形成されたわけです。
大大阪時代に入ると、「大阪発、大阪初」の企業が続々登場(サントリー/ウィスキー「白札」、阪急/ターミナルデパートなど)。關一市長が御堂筋を拡幅したのもこの頃でした。
Prex_3 <ものづくりは人づくり>
 日本の移ろう四季。これが繊細な感性を養い、農耕民族の勤勉さに大阪のイノベイティブな精神があいまって、ものづくりに適した地となりました。
ものづくり企業の抱える問題として後継者があります。どんなに優れた技術があっても、受け継ぐことが出来なければ失われてしまいます。つまり、ものづくりは人づくりでもあるのです。
Prex_5 <商都と精神文化>
 徳川幕府により大阪の商人は税金免除(「地子(じし)」)され、大きく経済を発展させます。それに対する感謝の気持ちを込めて釣鐘を作った歴史もあります。(中央区の釣鐘屋敷跡に現存、1日3回鳴っています!)士農工商の最下位にある商人、「御用金」として莫大なお金を江戸に納めねばならず、儲かるばかりではありませんでしたが、大阪は経済都市として発展、天下の台所と呼ばれ、上方文化も爛熟しました。先物取引で大儲けした淀屋では、ガラス張りの天井の上に水をはり、1匹500万円もする金魚が泳いでいたとか。当時の繁栄ぶりがうかがえます。
Prex_6 <危険な拝金主義>
 めざましい経済発展により成金商人が生まれます。しかし、行き過ぎた贅沢三昧や驕りの気持ちからやがて破滅へとつながるケースも多く、商人を見下す風潮が見られるようになりました。それに反発したのが石田梅岩。「先もたち、われも立つなり」・・・お客様に喜んでもらってこそ自分も利が許される・・・をまことの商人の道としました。マックス・ウェーバーの「利他と利己のバランス」に通じるものであり、「先義後利」の社会貢献精神を説いて大阪の商人に大きな影響を与えました。この頃にできた「心学明誠舎」は現在も大阪で活動を続け、大阪に息づいていた精神的伝統を伝え続けています。
21世紀、急激な経済発展にわくアジア諸国。「拝金主義への極端な傾倒は危険だ」と堀井理事長は警鐘を鳴らします。
Prex_7 <日本文明の独自性>
 日本には世界に誇るべき独自の素晴らしい生活文化があります。半世紀以上にわたり戦争がなく、飢えもなく、高度な医療を受けることができる、こんな国は他にはありません。「アジアを中心とする太平洋地域の中心都市として、大阪はもっと自信を持つべきです。」
満員の聴衆からの大きな拍手で講演は終了しました。

とかく”がめつい”という印象を持たれがちな大阪人。
徳川幕府の時代に「先もたち、われも立つなり」といった精神が大阪に存在したということを再認識すると同時に、この精神的伝統を伝えていくことで、お金にしか興味のない”実利一辺倒の街”というイメージを改善できればと思いました。

by CA

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