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2021年8月19日 (木)

【ご報告】万博記念基金 2021年度助成金・奨学金贈呈式

Logo  日本万国博覧会記念基金 2021年度助成金・奨学金贈呈式
    基金創設50周年で奨学金給付事業も開始
   7月28日/大阪工大梅田キャンパス「常翔ホール」

 

 関西・大阪21世紀協会は、1970年の大阪万博の収益金の一部をもとに翌年つくられた「日本万国博覧会記念基金」を2014年に万博記念機構から引き継いで管理し、その運用益を国際相互理解の促進に資する活動や文化的活動に助成しています。同基金は創設以来、累計114カ国・約4,600件の事業に総額193億円を助成してきました。

 基金創設50周年を記念し、今回の2021年度から2つの新しい取り組みを開始しました。1つは以前から要望の多かった複数年度の助成で、スペインで日本の漆塗りの普及に取り組む事業を選出。もう1つは日本初の「日本の伝統文化を研究する外国人留学生(大学院修士課程)を対象にした奨学金給付事業」で、対象4大学(東京藝術大学、京都市立芸術大学、大阪大学、早稲田大学)から推薦された中から5名が決定しました。
 このほど大阪工業大学梅田キャンパス「常翔ホール」で、国内外9カ国40団体に総額6,400万円の助成金と、奨学生5名に総額600万円の奨学金の贈呈式を開催しました。

 開会にあたり当協会の﨑元利樹理事長は「今回選ばれた奨学生の皆さんには、将来、日本と各国の懸け橋になっていただければありがたい。当協会はこれからも海外との国際交流事業の支援と、関西・大阪、日本のさまざまな文化の振興に取り組んでいきたい」と挨拶しました。

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 助成先を代表して2団体が参加しました。
 兵庫稲美少年少女合唱団の椿野伸仁さん(写真右/中央は﨑元当協会理事長)は、「かつてアウシュヴィッツの中継地としてユダヤ人強制収容所施設があったチェコのテレジンを2022年3月に訪問する。平和を希求するコンサート『テレジンを忘れないで~平和な未来のために~』を実施し、現地の小学生や少年少女合唱団と交流して世界平和に向けた思いを発信したい」と述べました。

 そして、エコデザイン学会連合の村田秀則さん(同左)は「持続可能なものづくり、高度な先端技術の発信・情報交換を目的に1999年以来、国内外で開催し、特に欧州やアジアで認知度の高い第12回環境調和型設計とインバースマニュファクチャリングに関する国際シンポジウム』を今年は完全オンラインで12月に開催する」と説明しました。 

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 つづく奨学金の贈呈式には、緊急事態宣言下で奨学生5名のうち参加は3名(写真)となりましたが、ビデオメッセージも含め、全員が謝辞とともに下記の抱負を述べました。

◎鄭 天雨さん(テイ テンウ/中国)
 京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻(陶磁器)2回生
「将来、他分野の人とのコラボや、日中の職人紹介ができるホームページをつくるなどして、日中の芸術交流のかけ橋になりたい」

◎Lam Joyce Tsin Yunさん(ジョイス ラム/カナダ)
 東京藝術大学大学院映像研究学科メディア映像専攻2回生
「普段は家族が制作テーマで、最近は日本の旅行や歴史を調べており、制作に活かしていきたい」

◎楊 櫓さん(ヨウ ロ/中国)
 大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻(漢詩研究)1回生
「日本古典文学の分野で貢献できる研究者を目指しており、日本の伝統文化の魅力を国際社会に発信したい」

◎解 桐さん(カイ トウ/中国)
 東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻(尺八)1回生
「将来、日本の尺八文化を中国だけでなく世界に広げるように全力を尽くしたい」

◎王 群さん(オウ グン/中国)
 早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻1回生
「将来の目標は伝統的建造物保存に関わる仕事に就くこと。文化財事業に貢献する方向に精進していきたい」

 

 贈呈式に続いて実施した事例発表では、2019年度に助成を受けた特定非営利活動法人Colorbath代表理事の吉川雄介さん、特定非営利活動法人ひとまちあーとの加須屋明子さん(京都市立芸術大学教授)がそれぞれの事業の報告をしました。

Colorbaath _ 左写真:吉川さん/同右:加須屋さん

 吉川さんは「Colorbathは人づくりとしての教育事業と、途上国の雇用創出のためのソーシャルビジネス事業を中心に活動している。今回はネパールと日本の都市と地方の子どもたちが交流するプログラムを日本と海外の団体と連携して行ない、オンラインも組み合わせたハイブリッドな交流活動をした」と述べました。

 加須屋さんは、兵庫県龍野地区に残る文化遺産を活用して優れた芸術を国際的に発信し、地元の活性化にもつなげる龍野アートプロジェクトについて発表。「国際的に活躍する芸術家を招き、音楽と映像や美術など異なるジャンルを融合させた実験的作品づくりに挑戦している。2019年は日本とポーランドの国交樹立100周年を祝し、日波国際芸術祭『アニマanima』を開催した」と述べました。同芸術祭で龍野市出身の現代音楽作曲家・薮田翔一さんが音楽監督を務め、ポーランドのアーティストと制作した作品も上映されました。

■日本万国博覧会記念基金事業、助成の詳細等については
 http://www.osaka21.or.jp/jecfund/ をご覧ください。

【川嶋みほ子】

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