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2021年9月27日 (月)

【ご報告】第21回上方花舞台

第21回 上方花舞台 開催

人気の歌舞伎役者たちが名作を披露

9月3・4・5日/国立文楽劇場(大阪市中央区)


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公益財団法人関西・大阪21世紀協会は、9月3日(金)から5日(日)の3日間にわたり、大阪市中央区日本橋の国立文楽劇場で、「第21回 上方花舞台」を開催しました。

上方花舞台は、作家の故・司馬遼太郎さんの発案で、大阪の花街に伝わるお座敷芸や、歌舞伎・能・狂言などの伝統芸能・文化を時代に合った形で発信することを目的に、1982年に発足した財団法人上方文化芸能協会が数年ごとに開催してきたもの。
2013年から関西・大阪21世紀協会がその事業を承継し、協会内に上方文化芸能運営委員会を置いて上方花舞台を始め、御田植神事や天神祭など伝統行事や公演などを行っています。

21回目となる今回は、尾上菊之助さん中村梅枝さんなど人気歌舞伎役者たちが、前半は「菊」と「藤娘」、後半は「六歌仙容彩」(ろっかせんすがたのいろどり)と、いずれも歌舞伎舞踊の名作を披露しました。

「菊」は1931年に日本舞踊としてつくられ、歌舞伎では1959年に初演、1998年に再演された演目です。従来は1人の少女の成長を花の精に喩えたものでしたが、今回は菊の精の華やかな姿を描いています。
すらりとした中村梅枝さんの洗練された身のこなし、そして、尾上菊市郎さん・菊史郎さん・上村吉太朗さん・片岡千太郎さんの若々しく気品のある踊りに、観客はすっかり惹きつけられた様子。084__20210922163501
つづくは尾上菊之助さんの「藤娘」。有名な演目ですが、元々は大津の絵師が描いた人物が絵絹から抜け出て踊る趣向で、後に人物を独立させて今日の演出になったということを今回初めて知りました。

初めてお酒を飲んだ娘が酔って踊る姿の艶やかさ、みごとな引抜(ひきぬき)の早替わりなど、尾上菊之助さんの「お家芸」の素晴らしさは言葉になりません。329_


最後の「六
歌仙容彩」は、絶世の美女、小野小町を巡って僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、大伴黒主の5人の男性全員がふられるという物語。尾上菊之助さんが1人で5役を踊り分けるのが大きな見どころです。個性的な僧侶や平安貴族、最後は屈強な悪役を、ときにはコミカルに、優雅に、あるいは豪胆に演じ分け、これがすべて菊之助さんだとは信じられないほど。中村梅枝さん演じる小野小町も謎めいていて、ストーリー展開からも目が離せません。

観客の皆さんは現下のガイドラインがあるため声はかけられませんが、かけ声に勝る大きな拍手で心からの喝采を送っていました。1914_

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ところで、今年7月にイタリア・ローマで開催された「G20文化大臣会合」で、都倉俊一・文化庁長官が「東日本大震災で津波被害にあった福島県において、停電が続く仮設住宅に住む被災者にとり、電気の次に必要なものは音楽であった。文化芸術は人々にとって生きる糧であり、文化芸術へのアクセス確保は基本的人権。SDGsの18番目の目標として文化芸術も加えるべきだ」と述べられたそうです。
(出典:文化庁公式サイト 


都倉長官の言葉のとおり、今回の上方花舞台を鑑賞して、なかなか先が見通せない日々の中でも、質の高い文化芸術に触れることが人々を心から楽しませ、気持ちを前向きにしてくれることを身をもって感じることができたように思います。


■主催:公益財団法人関西・大阪21世紀協会 上方文化芸能運営委員会
■協力:松竹株式会社・株式会社アロープロモーション



【川嶋みほ子】

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