【リポート】第20回 堂島薬師堂節分お水汲み祭り
1年の厄を払い 春の訪れと招福・疫病退散を祈願
第20回 堂島薬師堂節分お水汲み祭り/2023 年2月3日
大阪の早春の風物詩「堂島薬師堂節分お水汲み祭り」が2月3日、北新地の堂島アバンザおよび堂島薬師堂(北区堂島1-6-20)で盛大に開催されました。この行事は、大阪キタの活性化と水都大阪の再生を目的に企画されたお水汲みの儀式と、江戸時代から地元に伝わる節分行事を合わせて2004年から継続して実施されているものです。
2021~22年の2年間は、コロナ禍のため多くの人が集まる催事は控え、法要と竹筒護符引換、お水汲みのみが粛々と行われましたが、記念すべき第20回を迎えた今回は、万全な感染対策をしながら、鬼追い、舞台行事、龍の巡行などすべての催しが3年ぶりに復活しました。
堂島薬師堂で奈良薬師寺の僧侶らによる節分法要が行われ、薬師寺で祈祷された「お香水」(おこうずい)を汲む「お水汲み」で一連の行事が幕を開けます。
鬼の入魂式の後、福男・山伏・鬼・豆持ち・ドラ持ちなど1隊7~8名で編成する「鬼追い隊」が堂島・曽根崎新地へ賑やかに繰り出し、飲食店や企業を訪問して厄払いと招福祈願 を行ないました。
夕刻からの堂島アバンザでの舞台催事は、薬師寺の僧侶たちの「声明」(しょうみょう)で始まります。声明は日本の音楽の原点といわれ、普段は薬師寺金堂内だけで唱えられています。厄除け、疫病退散、招福の願いを盛り込んだ朗々たる声が会場に響くと、来場客の間から「きれいにハモって荘厳な歌のようだ」という声が漏れ聞こえてきました。
続いて、僧侶が来賓にお香水を汲み、芸妓衆が『十日戎』『梅は咲いたか』など、おめでたい演目の奉納演奏と舞を披露し、舞台はいっそう華やかさを増します。
クライマックスは、堂島薬師堂に祀られる弁財天の化身といわれる龍が、舞いながらまちを清めていく「龍の巡行」です。2年間のブランクを経て、第20回を記念して真っ白に生まれ変わった龍が力強い姿を現すと、会場内は大喝采。そして、触れ太鼓を先頭に、龍と薬師寺僧侶、北新地クイーン、「お化け」(※注)の面々、鬼追い隊などで構成する大行列が、堂島上通り、永楽通り、新地本通りを練り歩いて、お祭りを締めくくりました。
このお祭りがようやく本来の姿を取り戻そうとしているのと同じように、大阪にも北新地にも、そして人々の生活にも、明るく元気な日常が戻ってくることを参加者・見物客・関係者の多くが待ち望んでいることがひしひしと伝わってくるような、感慨深い一日でした。
■主催:堂島薬師堂節分お水汲み祭り実行委員会
(当協会の﨑元利樹理事長は「祭り支援委員会」の委員を務めています)
■公式サイト:https://www.kita-shinchi.org/omizukumi.html
●堂島薬師堂
http://www.avanza.co.jp/avanza/bil_gaiyou/dojima_yakushi.html
推古天皇元年(593年)、勅命により聖徳太子が最初の官寺となる四天王寺を造営した際、資材の運搬船が嵐で難破し、資材が漂着した洲に「堂宇」を建てたと伝えられ、「なにわの守護」として古くから信仰を集めてきた。「堂島」の地名はこのお堂が由来。
●節分お化け
堂島・北新地に伝わる花街の風習。節分の日の夜、女性たちが白塗りや仮装をして、鬼を遣り過すことからできた伝統行事。
【川嶋みほ子】
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