【リポート】第22回 堂島薬師堂節分お水汲み祭り
1年の厄を払い 春の訪れと招福・疫病退散を祈願
第22回 堂島薬師堂節分お水汲み祭り
2025年2月3日(節分の2日が日曜日のため翌日に実施)
大阪の早春を彩る「堂島薬師堂節分お水汲み祭り」2月3日、北新地の堂島アバンザおよび堂島薬師堂(大阪市北区堂島1-6-20)で開催されました。この行事は、大阪キタの活性化と水都大阪の再生を目的に企画された「堂島薬師堂お水汲み儀式」と、江戸時代から地元に伝わる節分行事を合わせて2004年から継続して実施されているものです。
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薬師堂で行われた鬼の入魂式 |
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お香水を受ける当協会 﨑元理事長 |
堂島薬師堂で奈良薬師寺による節分法要が行われ、薬師寺で祈祷された「お香水」(おこうずい)を汲む「お水汲み」で一連の行事がスタート。鬼の入魂式の後、福男・山伏・鬼・豆持ち・ドラ持ちなど1隊7~8名で編成する「鬼追い隊」が堂島・曽根崎新地へ賑やかに繰り出し、飲食店や企業を訪問して厄払いと招福祈願を行ないました。
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夕刻に堂島アバンザ内で行われた舞台催事は、薬師寺の僧侶たちによる「声明」(しょうみょう)で始まります。声明は日本の歌謡の原点といわれ、普段は薬師寺金堂内だけでしか聞けないものです。厄除け、疫病退散、招福の願いを朗々と歌う声が会場一杯に響き、集まった観客は背筋を伸ばして聴き入ります。
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続いて、僧侶が来賓にお香水を汲んだあと、北新地の芸妓衆が『松は唐崎梅は天神』『峠』『堂島北新地お水汲み音頭』のあでやかで優雅な奉納演奏と舞を披露します。また、今回初めてのプログラムとして、歌手で作曲家の亀井登志夫さんが、北新地の新しいイメージソング『フシギニイイカンジ』を歌い、観客はカラフルなケミカルライトで調子を合わせます。
![]() 弁財天の化身といわれる白龍の入場 |
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行事のクライマックスは、堂島薬師堂に祀られる弁財天の化身といわれる龍が、舞いながらまちを清めていく「龍の巡行」です。迫力ある龍が大勢の担ぎ手とともに入場すると、会場は熱気と歓声に包まれます。
最後は触れ太鼓を先頭に、龍と薬師寺僧侶、北新地クイーン、「お化け」(※注)、地元で活躍する大阪プロレスの人気選手たち、そして鬼追い隊など総勢約190名で構成する大行列が、堂島上通り、永楽通り、新地本通りを練り歩き、手打ちでお祭りを締めくくりました。
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今回の堂島薬師堂節分お水汲み祭りは、曜日の都合により立春に開催されました。世界的に悲しい事故や事件、予測不可能な出来事が続いている昨今、一日も早く皆さまのもとに穏やかで明るい春が訪れますように、白龍と鬼たちにお祈りしました。
【川嶋みほ子】
■主催:堂島薬師堂節分お水汲み祭り実行委員会
※当協会は実行委員会と後援団体のメンバーです。
■公式サイト:https://www.kita-shinchi.org/omizukumi.html
●堂島薬師堂: https://www.avanza.co.jp/about/yakushido.html
推古天皇元年(593年)、勅命により聖徳太子が最初の官寺となる四天王寺を造営した際、資材の運搬船が嵐で難破し、資材が漂着した洲に「堂宇」を建てたと伝えられ、「なにわの守護」として古くから信仰を集めてきた。「堂島」の地名はこのお堂が由来。
●節分お化け
堂島・北新地に伝わる花街の風習。節分の日の夜、女性たちが白塗りや仮装をして、鬼を遣り過すことからできた伝統行事。
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