【リポート】「堂島薬師堂節分お水汲み祭り」
厄を払い 春の訪れと招福を祈願
「堂島薬師堂節分お水汲み祭り」2019 年2月1日
国内外で大きな自然災害や政治的・社会的事件などが相次ぐ昨今、新しい時代を待ち望む人々の心を映すかのように、「平成最後の」が様々な行事の枕詞となっています。
そんな中、穏やかな季節への移り変わりを告げる年中行事【堂島薬師堂節分お水汲み祭り】が、大阪・北新地界隈を舞台に開催されました。平成最後の今回は、節分が日曜日となるため、2日繰り上げて実施されました。
このお祭りは、関西経済同友会の提言を受けて、大阪キタの活性化と水都大阪の再生を趣旨に企画した「堂島薬師堂お水汲み儀式」と、古くから地元で続いてきた節分行事を融合して平成16年に始まり、今年で16回を迎えました。関西・大阪21世紀協会の堀井良殷理事長は、同祭り実行委員会の共同実行委員長を務めています。
まず、堂島薬師堂(北区堂島1-6-20堂島アバンザ庭園内)で、奈良薬師寺の山田法胤長老らによる節分法要が行われ、薬師寺で祈祷された「お香水」(おこうずい)を汲む「お水汲み」が始まります。続いて、福男・山伏・鬼・豆持ち・ドラ持ちなど1隊7~8名で構成する「鬼追い隊」が薬師堂から堂島・曽根崎新地へ賑やかに繰り出し、飲食店や企業を訪問して1年の厄払いと招福祈願を行ないます。
堂島アバンザ内の特設舞台では、薬師寺の僧侶による「声明」(しょうみょう)でステージイベントが幕を開けます。日本の音楽の原点といわれる声明は、普通は薬師寺金堂内でしか聞くことができないもの。厄除け、招福、無病息災、家内安全、学業・職業成就などを盛り込んで朗々と歌い上げる声が、会場いっぱいに響き渡ります。
僧侶が主催者にお香水を汲み、続いて、芸妓衆が『寿』『初春三番叟』『北新地音頭』というおめでたい演目の奉納演奏と舞を披露します。艶やかな舞の次は、今回初出演の「打打打団 天鼓」のメンバーが力強い太鼓と三味線のパフォーマンスを繰り広げ、会場はいっそう熱気に包まれます。
そして、お祭りをさらに盛り上げるのは、堂島薬師堂に祀られる弁財天が龍に化身し、舞いながらまちを清めていく「龍の巡行」です。龍とともに、薬師寺の僧侶、北新地クイーン、趣向を凝らした「お化け」姿の北新地のお店の方々、鬼追い隊などで構成する総勢約150名の大行列が、堂島上通り、永楽通り、新地本通りという北新地のメインストリートを練り歩きます。
16回を重ね、大阪キタの早春の風物詩としてすっかり定着した荘厳で華やかな一連の催しは、関西・大阪の経済界の方々、文化やまちづくりに関わる方々、そして会場や沿道に集まった大勢のお客さまのお蔭で今回も大盛況となり、邪気邪念がすっきり取り払われた感じがしました。
心地よい季節の到来と、新しい時代がすぐ間近にあることを感じられる楽しい一日となりました。
■主催:堂島薬師堂節分お水汲み祭り実行委員会
公式サイト http://www.kita-shinchi.org
●堂島薬師堂
http://www.avanza.co.jp/avanza/bil_gaiyou/dojima_yakushi.html
推古天皇元年(593年)、勅命により聖徳太子が最初の官寺となる四天王寺を造営した際、資材の運搬船が嵐で難破し、資材が漂着した洲に「堂宇」を建てたと伝えられ、「なにわの守護」として古くから信仰を集めてきた。「堂島」の地名はこのお堂が由来。
●節分お化け
堂島・北新地に伝わる花街の風習。節分の日の夜、女性たちが白塗りや仮装をして、鬼を遣り過すことからできた伝統行事。
【川嶋みほ子】
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)