大阪ブランド情報局

劇映画「ODASAKU」制作を計画

金 秀吉さん

 大阪を描き、「オダサク」の愛称で親しまた作家、織田作之助(1913~47)の映画化の計画が進んでいる。タイトルは『ODASAKU』の予定。メガホンを取るのは大阪在住の映画監督で脚本家の金秀吉(キム・スギル)さん(45)。来春にはクランクイン、再来年2月のベルリン国際映画祭に参加したい考えだ。
 オダサクは大阪市生まれ。庶民の暮らしを描いた代表作「夫婦善哉」のほか、「土曜夫人」「五代友厚」などの作品を残した。今年は死去から60年、「夫婦善哉」続編の生原稿が見つかり話題を呼んでいる。 映画化の動機を金監督は「オダサクは、ぜいたくなくらい大阪好きで、小説のほかに『大阪論』などの評論、エッセーを数多く残しているが、(人となりについては)知られているようで案外知られていない」。また、「(オダサクが生きた)同時代の大阪人のバイタリティ、大阪のまちを映像で描きたい。『ODASAKU』のタイトルには『OSAKA』が生きている」とも。

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 金監督は大阪生まれの在日コリアン3世。名前は「祖父が、大阪で生きていくなら太閤さんのようになれ、とつけたようだ」。身長184・5センチ、体重105キロの巨漢。高校時代はラガーマン。同時に、2本立て、3本立ての映画館に通った映画少年でもあり、芥川賞を目指して小説を読みあさった文学少年でもあった。
 高校卒業後、今村昌平監督(2006年死去)が校長だった横浜放送映画専門学院(現日本映画学校)に入学、83年研究科課程を卒業。18歳で書いた「潤(ユン)の街」で映画脚本の登竜門、城戸賞を受賞、85年「君は裸足の神を見たか」で監督デビュー。以後、大阪に生活の拠点を置いて、数々の作品を世に問い、受賞も多い。近作では「千の風になって~天国への手紙」、「ナノハナ」などがある。
 金監督には今度の映画化とともにもう一つの夢がある。「映画づくりほどワークショップ(体験参加)に適したものはない。大阪はまち全体が撮影所みたいだ。多くの人に参加してもらってつくり、いずれは大阪をアジアのコンテンツ(作品)の発信基地にしたい」
(文/七尾隆太 写真/竹内 進)

取材日:2007/11/2

[参考]
金秀吉公式ウェブサイト http://www.k-cre.com/
ショートムービー「オダサクが愛した法善寺横丁」http://www.osaka-brand.jp/shortmovie/movie02.html