大阪ブランド情報局

「水都大阪」再生にアイデア続々

伴 一郎さん

 大阪のど真ん中、中之島公園でビーチバレー・ワールドツアー日本大会を開催――。奇抜なアイデアに浪速っ子も「えっ」。だが、伴ピーアール(大阪市)の伴一郎社長(59)は「中之島は昔、砂浜だった。北浜も英語に直せばノース・ビーチ、違和感はない」とうそぶく。大会関係者から相談を受け、中之島開催を進言したという。
 コートには良質の砂が欠かせない。伴さんは、その砂の確保を担当する。「淀川べりにきれいな砂がある。カナダの検査機関からお墨付きももらった」。5月の開催時には、特設コート5面に厚さ40センチ、4トントラック400台分の砂を敷き詰める。世界の約30カ国の選手が参加することになっており、伴さんは「世界の6億人がテレビで観戦する可能性がある。『水都大阪』を世界に発信する絶好の機会」と話す。

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水辺の環境問題、共生にこだわり続けている。約20年前、「琵琶湖・淀川水系を考える会」を発足させ、代表世話人として、子どもたちも交えて大川や琵琶湖流域の清掃活動に取り組んできた。約15年前からは、大阪天満宮の「天神祭美化委員会」委員長として、ごみ掃除のボランティア活動も。「瞬間に100万人も川に集まる祭りは世界に例がない。その水は琵琶湖から23時間かかって天神橋まで流れて来る」。水の浄化に役立つ琵琶湖の葦(よし)を活用して、紙の開発、商品化も手がけている。
 社内に舟運事業部を設け、小型パーティーボート(10人乗り)で水上リムジン(予約制)を運航している。船名は「浪切天神」だ。
 兵庫県尼崎市役所を30歳で辞めて、広告代理店に7年間勤務、86年に独立して現在のPR会社を設立した。90年に「国際花と緑の博覧会」で広報を担当した際、「大阪らしい土産物を」と、「くいだおれ人形」「かに道楽のカニ」「づぼらやのフグ」など名物看板のキーホルダーを考案して販売、ヒット商品に仕立てのは語りぐさだ。3種類で約600万個も売れた。
 川をテーマにした街の活性化をめざす「水都大阪2009」、「水都ルネサンス大阪」などにもかかわり、「水都大阪」との縁はますます深まりそうだ。「中之島のビルにイルミネーションを付けて島全体を船に見立てたらどうか。長さ3千メートルの世界最大の商船として情報発信できる」。アイデアは尽きない。
(文:七尾隆太 写真:ショーン・ケンジ・マドックス)

取材日:2008年3月12日