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2009年7月31日 (金)

生国魂神社 いくたま夏まつり(7/11-12)

地下鉄谷町9丁目から徒歩3分の生国魂神社。

Ikutamagaikan

大阪の人は親しみを込めて「いくたまさん」と呼びます。ご祭神は 国土・大地の守護神である生島大神と足神大神、そして「ダイコクさん」とよばれる大物主大神は人間生活万般を守護される神様なんだそうです。 (ちなみにこれを聞いて、すぐに大手ドラッグストアチェーンの名前の由来はここなのかしら?と連想)
ちなみにこの神社その昔上方落語の祖・米澤彦八がこの境内を舞台に上方落語をひろめたことから芸事の神様とも言われており、他に土木建築の神様、金物カマドの神様、女性の守護神、などなどいろんなニーズにこたえてくれそうな神様が勢ぞろい!なんて便利な神社なんだ!と俗っぽいことを考えてしまいました。

さてこちらの夏祭り、陸渡御が有名。氏地の疫病退散、厄除け開運を願うもので最盛期であった明治から昭和初期には千人を超える陸渡御で賑わい、「陸のいくたま」「川の天神」と称されていたほどだったとか。※ちなみにこの写真は会館に飾られています。。

Mukashi 
この陸渡御、今は交通事情等の理由で車で移動します。

Rikutogyo_2 Rikutogyo2

白杖代って何?


Hakujyodai いくたまさんの陸渡御でとりわけ目立つのが「白杖代」。恥ずかしながら読み方すら知らなかったのですが「はくじょうだい」と読むのだとか。これは渡御において神様の杖のかわり「御杖代(みつえしろ)」として使える童をさすそうです。 神様の代理人としての意味合いをもつ白杖代は天神祭の神童と同じぐらい重要な意味をもつんだそうです。

大阪城へ(元宮駐輦)
この陸渡御が目指すは大阪城。ここに元宮があり、御鳳輦をここに鎮座させるべく渡御してきます。いくたまさんは豊臣秀吉の築城のに際して移転する前まではこちらにあったんだとか。ちなみに一ヶ月ぐらい前から大阪城付近に「生国魂神社」という幟がたっていて「なぜ生国魂神社の幟がお城に?」と不思議に思っていたのですが、そういうことだったのか、と納得。

Otabisho Taikodai

獅子舞と枕太鼓

夕方から境内までの参道はあふれんばかりの屋台でにぎわいます。
この生国魂神社では夜に獅子舞おねり、御神輿おねり、そして枕太鼓のおねりがあり
本当に賑やか!3歳くらいの小さな子供たちも参加するかわいらしい獅子舞や枕横倒しになるかとおもうほどの動きと迫力でうちつづける枕太鼓も必見!いくたまの夏祭りといえば枕太鼓!というほど有名で、海外からも招待されるほどだそうですよ。ちなみにこの太鼓は豊臣秀吉からいただいた由緒あるものなんだそうです。

Photo Shishimai

Senaka ちなみに彼らはバチを背中にいれています。スペアのバチをポケットがないから背中にいれているのかしら?と思っていたのですが太鼓をたたく際にあまりに動きが激しいので背中をいためないようガードする目的の「背ブチ」というものだそうです。縄もゴージャスに巻きつけられているのですが、もともとこれは忍者道具だったらしく、縄をつなげて縄梯子にできるように作られているんだとか。胸にはいくたまさんで安全祈願に押してもらったいくたまさんの印。お祭りには昔から引き継がれているいろんな知恵や先人の想いがあるのだと感じた1日でした。

■開催日
毎年7月11日・12日

■開催場所
生国魂神社
天王寺区生玉町13-9

■2009年度スケジュール
7月11日(土)宵宮祭 09時30分
       (宮出) (宮入)
枕太鼓   10:00   16:00
中太鼓   行宮より 17:00
子供太鼓  行宮より  17:00
子供みこし 行宮より  17:00
金銀神輿  13:00     17:30
子供太鼓  13:00   17:30
獅子舞   13:30   18:00
獅子舞おねり      17:00
金銀神輿おねり     17:30
枕太鼓おねり      20:00

7月12日(日)本宮
いくたま夏祭り  10:00斉行
神幸祭      12:30
御渡(おわたり) 13:00
元宮注れん    14:00
行宮祭      15:00
還幸祭      17:00
獅子舞おねり   19:00
金銀神輿おねり 19:30
枕太鼓おねり  20:00

■ アクセス
地下鉄谷町線谷町9丁目 徒歩5分
  

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星田妙見宮 七夕祭(7/7)

 京阪交野線の終点駅、私市(きさいち)駅に降りると、地元物産展や地域の方が催す模擬店などの合間合間に色鮮やかな短冊が下がった笹飾りがいっぱいで駅前は七夕まつり一色でした。駅から天の川に向かい、山に向かってしばらく歩くと星田妙見宮の杜が見えてきます。訪れた日は雨上がりでじっとりとしていたのですが、妙見宮に着いたとたん静謐な空気と変わりました。大鳥居をくぐり境内に入る手前に大きな茅の輪があり、傍らには「茅の輪くぐり」の手引きがおいてありました。

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茅の輪をくぐり越えるときは
『思う事皆つきねとて麻の葉をきりにきりても祓ひつるかも』
『水無月の夏越の祓へする人はちとせの命伸ぶというなり』
『宮川の清き流れにみそぎせば祈れる事の叶わぬはなし』
という歌を唱えながら下の図のように3回茅の輪をくぐり越えます。
こうすることで、人が知らず知らずのうちに犯した罪や過ち、心身の穢を祓います。
詳しくはこちら↓

http://www5f.biglobe.ne.jp/~monarisa/hoshida/mama.htm#tinowa

Akari そこから拝殿までの参道は223段の階段が続くのですが、登った眺望は清々しいものでした。参拝を終えた後には懐かしい味のひやしあめのご接待がありました。そこから、また階段を下っていくと、子ども達が続々と集まって来ています。宮司さんにお話を伺ったところ、毎年恒例のビンゴ大会が始まるそうです。さらにこの日に限り、境内内の集会所が佐々木久裕宮司の個人コレクションである化石や鉱物のミニ博物館が催されていました。
日が落ちてくると七星会による居合切りの奉納、妙見星太鼓の奉納と続きクライマックスの七夕飾りのお焚き上げと続きます。

Kodomo Perfomance Taiko_2

行ってみて感じたことは、決して大きい神社ではないのですが、地域と一体になり、祭事が行われているということを強く感じました。その準備のために氏子さん達が細やかな気配りをしている場面がいくつも見受けられました。
妙見さんには年間を通じてお祭りがたくさんあり、子ども達もお祭りが生活の一部になっているとのことを聞き、少しうらやましくなった七夕祭りでした。Wide

(ブランドコラボセンター 古谷晃一郎)

■祭りの名前 
 七夕祭  
■開催日
 毎年7月7日
■開催場所
星田妙見宮
交野市星田9−60−1
電話072−893−1212
■交通アクセス
JR学研都市線 星田駅下車 徒歩40分
京阪交野線 私市駅下車 徒歩45分

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2009年7月30日 (木)

杭全神社 平野郷夏まつり(7/11~7/14)

■神社について
平安の初期、征夷大将軍坂上田村麿の子広野麿が杭全荘を荘園として賜ってこの地に居を構え、その子当直が貞観四年(862年)に氏神としてスサノオノミコトを京都八坂神社から勧請し、祇園社を創建したのが杭全神社のはじまりとされる。現在は、3殿からなり、5柱(スサノオノミコト、イザナミノミコト、ハヤタマオノミコト、コトサカオノミコト、イザナギノミコト)が祭られている。

■夏祭りの由来
スサノオノミコト(牛頭天王)を御祭神とする祇園社の祭りである。神事は当然、創建時からあるが、夏祭りを確認できる最古の記録は、江戸中期宝永二年(1705年)である。地車は、当初、平野郷の各地域を開発した七名家により7基あったが、野堂地域が野堂東、南及び北の3地域に分かれ、現在の9基になった。

■感想
家内と結婚して平野へ移り住み十数年経つが、祭りの4日間のうち、2、3日目の地車の巡行、宮入は毎年見に行っていたが、1、4日目は神輿が何をするのかも知らないでいた。今回の取材により、宮司様のご説明でその謎が解けた。(私だけが知らないのかもしれないが・・・)
つまり、1日目にスサノオノミコトが天上から降りてこられて神輿に乗り(これを神遷という。)、4日目にスサノオノミコトがまた、天上にお帰りになるのである。2、3日目の地車はそれをお祝いする、一種のニギヤカシであるとのこと。つまり、1日目と4日目の神輿が本当の祭りなのである。
とは言っても、我々地元の人間にとって祭りの最大の楽しみは、3日目の「宮入り」である。9基の地車が以下のようなパフォーマンスを見せて、順次杭全神社の鳥居を潜って神社に入る。
・・・・赤い提灯に彩られた地車は、割れるように打ち鳴らされた鉦や太鼓の囃子とともに、杭全神社の鳥居に向かって猛烈な勢いで急発進したかと思うと、鳥居前で急停止し、「モドセー!モドセー!」の掛け声で後退する。これを何回か繰り返した後、最後に鳥居を潜って宮入が完了する。地車の屋根には若者数人が乗っており、そのまま進むと若者の頭が鳥居にぶつかってしまうが、ぶつかる直前に頭をヒョイと下げてかわすそのスリルが堪らない!(実際にぶつかって地車から落ちたのを見たような気がする。)

Modose_2 Ichimachi

また、その間に、いわゆる「マイマイ」という静のパフォーマンスがある。地車を取り囲んだ何十人もの若者(若い女性らが参加している地車もあり、華があって非常にヨイ。)による「マーイマイ!(廻せという意味?)」の掛け声と鉦と太鼓の囃子に乗って、若者が地車を傾けゆっくり回すのであるが、これが非常にカッコイイ!・・・この動と静のパフォーマンスにより、地車巡行の若者らと観客は一体となり、恍惚状態になってしまう。

Maimai Dokka

(PS)
若いごんねぎ様のご説明では、神輿の巡行は、御堂筋パレードに酷似しているらしい。(学生時代に「行列(数学ではない。)」を研究され、当協会にもヒアリングに来られたとのこと)。例えば、神輿巡行では露払いとして先頭に検非違使が立つが、御堂筋パレードでは警察の白バイが先頭に立つ等・・・。今回の取材の後、神道や古事記に興味が沸いてきて、ときどき書店で立ち読みしている。(まだ、買ってはいないが・・・)。

                             (ブランドコラボセンター 藤本忠彦)

◇開催日◇
 毎年7月11日~14日

◇開催場所◇
 杭全神社
 大阪市平野区平野宮町2丁目1番67号

◇2009年度スケジュール
7月11日神輿足洗い、太鼓代足洗い
7月12日地車町内曳航、九町合同曳航(南港通り)
7月13日地車平野郷内、町内曳航・宮入
7月14日太鼓台巡行・神輿お渡り渡御

◇交通アクセス◇
  JR大和路線平野駅から徒歩5分

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2009年7月29日 (水)

機物神社 七夕祭(7/6-7)

七夕伝説のふるさと

 枚方市と交野市のあたりは、空や星、七夕にまつわる伝説やお話が多くのこっています。昔、この地域にわたってきてすみついた渡来人たちが、その頃「秦氏(はたうじ)」とよばれていたそうです。彼らは養蚕や機織の技術をもっており、機織の「はた」そして「秦氏」の「はた」が七夕伝説と結びついたことにより広まりました。地名でも七夕にちなんだ名前が多いのはそのせいなんだそうですよ。ちなみに7月7日には各地で七夕祭りがおこなわれるこの地域。まずは交野市にある機物神社にいってみました。

巨大な七夕飾りが・・

  JR津田駅から歩いて15分くらい。いったいどこに神社があるんだろう。。。
とうだるような暑さの中あるいていると、笹をもった親子連れが“マイオリジナル笹”をもって
ぞろぞろと歩いています。 笹をもった家族が神社に吸い込まれるようにしてはいっていくのですが、鳥居をくぐってびっくり!

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笹の、短冊の洪水、です!

色とりどりの短冊がつるされた5~6mはある巨大な笹が境内にぎっしり立てられていて、その笹の葉にはお願いごとの嵐、嵐、嵐。

お友達がふえますように(かわいいですね)
孫ができますように  (お嫁さん、プレッシャーだなあ)
給料ふえますように  (同感です)

Tanzaku1 Tanzaku2

などなど、みんなのお願いごとをチラ見しつつ、かわいらしいお願いごとをみて微笑んだり
きっと神様が困るんじゃないかという大きなお願いごと大笑いしておりました。
ちなみに、本殿では35本、鳥居周辺を含めると約40本の笹が用意されており。
2枚100円で販売している短冊に願いをこめてくくりつけます。もちろん、家で作った七夕飾りをもってくる方もいらっしゃいます。

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ちなみにこの七夕まつりには浴衣をきた子供たちも多く、家族みんなで短冊をつるす光景自体が最近ではあまり見かけなくなった古きよき日本の一コマのように感じました。

                           (ブランドコラボチーム 松岡京子)
■祭りの名前 
 七夕祭(例祭)
■神社について
 機物神社
■夏祭りの由来
 織姫・天棚機比売(あまのたなばたひめ)大神をおまつりした機物神社では、昭和54年から七夕祭りが復活されました。もともと機物神社の例祭は秋だったそうですが、古文書を確認すると7月7日が例祭だったこと、また氏神様が女性だということをから、昭和54年より7月6日を宵宮、7月7日を例祭として復活したのだそうです。  

■開催日
 毎年7月6日、7日
■開催場所
  機物神社  交野市倉治1-1-7
072-891-4418
■交通アクセス
JR学研都市線
津田駅南へ500m
京阪バス倉治下車

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2009年7月22日 (水)

安倍晴明神社 七夕まつり(7/7)

135_3  天王寺からチンチン電車に乗って南へ約10分。東天下茶屋駅近くの住宅街にひっそりと佇むのは、平安時代の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)を祀った安倍晴明神社。

 同社の創建は晴明没後2年の1007年(寛弘4年)。現在の社殿は1925年に再建され、境内には彼の誕生地を示す石碑が立っています。
 

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 安倍晴明(921年~1005年)は、天文学や占いなど、平安時代には最先端の呪術・科学であった陰陽道に関して卓越した知識を持ち、貴族たちの厚い信頼を受けていました。
そしてその行跡は伝説化され、数多くの神秘的逸話が、当時の歴史物語や説話集に載せられています。
 近年には映画やテレビドラマ・小説から漫画・アニメ・ゲームにまで登場し、陰陽師・陰陽道ブームを巻き起こしています。

 七夕まつりは、安倍清明千年紀を機に、3年前から始まっています。
 夕方4時になると、安倍晴明公に手芸や文芸の上達をお祈りした後、神前で献歌と献句を行います。地元の人たちが集まり、ささやかに開催されている祭りです。

124_2  見どころは境内に美しく飾り付けられた七夕笹や薬玉(くすだま)飾り。

 今回の取材では、同じく取材に来ていた朝日放送の方に面白いお話を伺いました。

 薬玉はもともと、蓬や菖蒲などの香草、香料、薬草を玉にして錦の袋に入れ、糸や造花で美しく飾ったもので、邪気を祓うために宮中の柱にかけたり、身につけたりしていたそうです。

 薬玉の伝統は幕末まで続いていましたが、東京遷都とともに廃れ、学校の運動会や、道路・トンネルの開通式など、まったく違う目的で使われるようになっています。
 こうして祭りで薬玉が飾られることは京都ではすでになく、大阪ではここの七夕まつりで復活して残されています。

 いま、「失われた宮中の伝統行事」を各地の諸行事から炙り出すというコンセプトのもと、番組を作っています。放映は平成天皇即位の日、11月12日の予定です。

◇開催日◇
 毎年7月7日

◇開催場所◇
 安倍晴明神社
大阪市阿倍野区阿倍野元町5-16 お問い合わせ先 阿倍王子神社 Tel: 06-6622-2565

◇2009年度スケジュール◇ 
 午後4時  七夕祭神事
 午後4時半 講演会「星の子・与謝野晶子と鉄幹の恋物語」(なにわの語りべ 西真理子氏)
 午後5時半 福引抽選会 

◇ 交通アクセス◇
 阪堺電気軌道上町線 東天下茶屋駅から東南へ徒歩3分

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2009年7月 8日 (水)

愛染まつり(6/30~7/2) ~大阪の夏祭はここからはじまる~

「愛染さんじゃ、宝恵籠(ほ・え・かぁ~・ごっ)」。Kagomusume_3


公募で選ばれた愛染娘12名が、宝恵籠にゆられながら上町筋を行列。この囃子と光景をみると大阪の夏のはじまりといわれるほど、地元に愛されているお祭りなのです。

◇開催日◇

  毎年6月30日~7月2日の3日間

◇開催場所◇

愛染堂勝鬘院(しょうまんいん)

夏祭り=神社というのが一般的なのですが、こちらは珍しく“お寺”。元々は西暦593年聖徳太子が四天王寺を建立された際、病に苦しむ人のために薬草を植える施薬院として立てられました。祀られている愛染明王は主に良縁成就・夫婦和合の本尊として有名、かつ愛嬌開運にもご利益があるといわれ、女性や俳優さんが多く参詣にこられるんだそう。

◇愛染祭の由来◇
  
593年に聖徳太子が開いた日本最古の夏祭りといわれ、夏にむけて病気にならないよう 
にと願いを込めた「夏越(なご)しのお祓い」を受け継いだもの。6月30日の宵宮では総本山四天王寺の高徳僧侶が大集結し、厳粛な法要を行うとともに、7月1日が本尊である愛染明王の年に1度の縁日であることから、その2つの要素が合わさり「愛染まつり」となりました。ちなみに愛染まつりといえば連想されるのが「宝恵駕籠(ほえかご)」パレード。これは江戸時代の年号「宝永(ほうえい)」からきていてこの時代に芸妓さんが駕籠にのって愛染さんにおまいりにきていたのを再現したとわれています。

◇実際にいってみました!◇

べっぴんさんじゃ、ほえかご!Musumezenin

 「宝恵駕籠(ほえかご)」には現在、芸妓さんのかわりに公募で選ばれた愛嬌のある娘さんたちが載ってパレードをしています。今年の応募はなんと約400名。選ばれた12名がおそろいの浴衣をきて笑顔を振りまく姿はとてもキュート。 駕籠に乗って上本町から四天王寺経由でお寺にむかうのですが、参道には近所の人やカメラファンがワンサカ。ちなみに、この決まり文句の掛け声(「愛染さんじゃ、ほえかご、べっぴんさんじゃ、ほえかご!」)は「21世紀に残したい大阪の音風景」にも選ばれているほど。大阪にとっては夏の風物詩なのかもしれません。

最高のシャッターチャンス「かご上げ」Kagoage

 

どこをとっても絵になる愛染さんでカメラ小僧たちがねらうは、最後の「かご上げ」。パレードをおえて愛染堂に帰ってきた駕籠は多宝塔前で順々に男衆に持ち上げられグルグル、ユッサユッサ!とまわされます。もちろん中にはいっている愛染娘たちは落とされないように必死になりながら、にこやかに手をふって愛嬌をふりまいてくれます。 ちなみにこの駕籠上げ、いつから始まったのかは定かではないそうですが、昭和10年ごろには既に華として行われていたんだとか。その頃は芸者さんが駕籠に乗っていたため、壇那(スポンサー)が芸者さんを自慢しようと高々と駕籠をあげて見せびらかしたんだそうです。揚屋さん、置屋さん側が「うちのお店にはこんなべっぴんがいますよ!」とばかりにお店の看板芸者さんを宣伝する目的もあったとか。また豪快にゆっさゆっさと振られ、芸者さんが振り落とされそうな感じから「厄を振り落とす」という縁起担ぎになり、現在も「駕籠上げ」が続いているんだそうです。

愛染さんのシンボル花・ 愛染かつら

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この愛染さんで私が気になっていたのが、オレンジ色の花。娘さんの髪にはオレンジ色の花がドーン!と飾られているし、お守りはこのオレンジ色の造花に結わえられて「花守り」として売られています。 聞いてみると、これは「かつらの花」。これは愛染さんのシンボルだそうで、霊木であるかつらの木にノウゼンカツラがからみつくようにして花をさかせていたことから、この2つをあわせて「愛染かつら」と呼ばれるようになったとか。  このお祭りには氏子のおばあちゃん達がこの日のために作ったかつらの造花と、娘さんの笑顔があふれていて、華やかな雰囲気。ちなみに境内には真剣におみくじをひく女子高生たちの姿も多く、夏越の祓いというよりは、年に1度の縁結びの神様との結縁を求める参詣客が多いようにかんじました。
もちろん独身の私は花守りを購入。ご利益があるかどうか。みなさんも来年ぜひ。

◇2009年度スケジュール◇            Jyoshikosei_2

6月30日
13:00  宝恵駕籠パレード出発式
        (近鉄大阪上本町駅)
13:30  出発
上本町から四天王寺経由で
約2時間のパレード

15:30  愛染堂到着 かご上げ
17:00  夏越しの祓えの大法要(30分)

7月1日  ミス愛染娘コンテスト

6月30日~7月2日共通
        愛染明王と大日大勝金剛尊の特別ご開帳
        宝恵(ほえ)かご体験コーナー(写真撮影可能)
        18:00~20:00 演芸大会 など。

◇ 交通アクセス◇

 地下鉄谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘」駅下車 5番出口から徒歩2分

大阪ブランドセンター  松岡京子

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2009年7月 3日 (金)

大阪の夏祭りの楽しみ方

島崎 武

大阪の祭りといえば、夏祭り

  7月は大阪の夏祭の季節である。34237807_2032953126
7月となればまずは仏寺の祭りである愛染堂の「愛染祭」に始まり,ほぼ連日のごとく市内のどこかで祭囃子が鳴り響き7/11・12には神社の夏祭の筆頭・生国魂神社の「生玉夏祭」、7/24・25には日本三大祭のひとつである大阪天満宮の「天神祭」、そして7月の終わりには住吉大社の「住吉祭」に至り、遂に大阪市内のおびただしい数の夏祭に終止符が打たれるのである。
   大阪市内は本当に夏祭の多い地域である。大阪と並ぶ江戸時代の三都、江戸(東京)・京都は春祭や秋祭が中心で夏祭はそれほど多くない。京都などはほとんど、祇園祭オンリーといった感じもある。京都などは年間で100の祭りをやっていると祭りの多さを豪語するが、大阪は市内には100ほどの神社がある。つまり小規模なものも含めると100ほどの夏祭りがあるということになる。大阪の祭りが夏に集中しているのはやはり都市の祭りであるということだろう。都市は農村に比べればはるかに過密な場所であり、ひとたび伝染病などが流行ればとたんに街全体に広がってしまう。こうした病気などから逃れる手段として盛大に祭りを行い祓い清めたのである。またこれは神道の夏越大祓とも連動した。神道では年の真中の6月の終わりと、年末の大晦日の年2回に半年ごとに人々の罪穢れを祓い清めるために大祓を行なった。

特に6月晦日の夏越大祓は夏であるので夏の伝染病予防の意味合いを強く持つものであった。これは伝染病等が流行りやすい都市の欲求に答えるものでもあり、伝統的に都市たる大阪では夏祭がいっそう盛んに行なわれると言うことができる。祭りの名称にしても坐摩祭が坐摩御祓であるとか、天神祭が天満御祓だったり、住吉祭に至っては単に「おはらい」とだけ称したぐらいで、大阪の夏祭は夏越の祓いと直結したものだった。

大阪は「祓いの聖地」Photo_11

  これに加えて大阪の場合は「祓いの聖地」としての意味合いもあるように思える。都市だから夏祭が多いというのならば、東京や京都や他の都市も夏祭を多く行なうはずであるがそうではない。これは古来より大阪が都市以前に持つ祓いの斎場としての機能を持つことに関係があるように思える。摂津一之宮でもある住吉大社は祓い清めの社であり上記の通り夏祭である住吉祭は単に「おはらい」と呼ばれることすらある。

  著名な天神祭も元は陰陽道の
大将軍神の七夕の祓いの神事であったと言う説もある。京都で疫病神を祓う祭りを行なった後にその疫病神を鎮めた神輿を大阪まで運び大阪湾にに流し祓い清めたという話もある。また伊勢の斎宮は任期が終わり京都に帰還する際には途中回り道をして大阪に立ち寄り禊を行なってから京都に帰ったともいう。すなわちこれは大阪の地が元来祓いの聖地であることを物語るものであり、このことが大阪に夏祭を集中させる遠因となっているのではないかと思える。 祭りというものは地域によって特色があるものだ。大阪の夏祭もやはり特色がある。 またそれが祭り見物のおもしろ味にもつながっていく。そこで、今回は大阪の夏祭の特色と見所について紹介をする。

岸和田だけではない「だんじり」

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  大阪の夏祭は地域を挙げての氏子祭りである場合がほとんどなので、地域からいろいろな出しものが出されるが、大阪でもっともポピュラーなのはやはり「だんじり(地車)」だろう。秋の岸和田だんじり祭の影響もあり有名になっただんじりであるが、だんじりは大阪府内全域に渡って広く分布するものである。

しかし、だんじりといってもその場所地域によって特色がある。大きくは「上だんじり」と「下だんじり」にわかれ、下だんじりは岸和田などの泉州地区分布するもので、有名なやり回しなどを行う。一方の上だんじりは泉州以外の地域に分布するもので「かたせぼう」なる担ぐための棒がついているのが特色で、この棒に肩を入れてだんじりをグルグル回転させる「マイマイ」や「ぶん回し」などを披露する。大阪市内のだんじりも「マイマイ」を行うのでやはりマイマイを行う時がひとつの見所となる。 Photo_13

  また市内のだんじりはお囃子に合わせてだんじりの屋根の上や、だんじり前に架設される舞台などで踊られる「龍踊り」も見所である。龍の昇天するさまを踊りにしたものとも言われ複雑に手首を腕を動かしつつグネグネと実に不思議な動き見せながら踊られる。アップテンポかと思えば超ローテンポになったり止まったりもする。本来の大阪のノリを垣間見せる。  

太鼓台に注目!

  大阪でこのだんじりとともに双璧をなすのが太鼓台であろう。これも大阪府内に広く分布するが、大阪市内では赤い枕のようなものを太鼓の前後にのせた「枕太鼓」と、座布団型の布団を屋根に見たてた「布団太鼓」にわかれる。大阪市内では圧倒的に枕太鼓が多い。この太鼓台はもともとは神社の神輿が出る際に神輿を先導するのが本来の目的だったようだが、今では祭りを賑やかにするために神振行事として他の出しものとともに氏子町内から出されることもあるようだ。 この太鼓台の特色はなんと言ってもひとつの大太鼓を四人ないし六人で同時に叩くことだろう。 Photo_20
この太鼓を打つとき独特の打ちかた構えかたをするのも大阪の太鼓のおもしろ味かと思える。また太鼓台を激しく横転させたり回転させたりと暴れ回るのも見せ場である。

獅子舞と傘踊り

  獅子舞もかなり特色のあるものだ。大阪の獅子舞は獅子の舞いだけでなく「傘踊り」と称するたくさんの踊り子部隊が加わり、天神祭などは数百名もの傘踊りの舞子がつくぐらいである。お囃子に合わせて小さな和傘を左右に器用に持ち替え、クルクル回しながら踊られる。また四つ竹なる小さな竹の棒がかちゃかちゃと打ち鳴らされる。これは祓えの所作であると言う説もあるが、大阪市内の獅子舞傘踊りはそもそもが伊勢大神楽から変形したものとの説もあるので、祓いにちなんだものや呪術的なものが混入していても不思議ではない。 これもやはり元は神輿の行列の構成員であったが、宵宮などは単独で巡行する。神輿のないところでは単独で巡行する。

祭りのシンボル“神輿 Photo_5

  最後に紹介するのは祭りのシンボルともいうべき「神輿」である。祭りといえば神輿というぐらいの全国的に非常にポピュラーすぎる感もあるが、この神輿の練り暴れる様はなかなか勇壮で、地域の独自性もありおもしろいものである。 全国的に神輿は「ワッショイ」という掛け声とリズムで担がれるが、大阪の天神祭などでは「ヨーイ、ヨーイ、ヨイ、ソーリャ」と声をかけながら担がれ、杭全神社の平野郷夏祭などでは「ヨイ、ヨイ、ヨイ、ヨイ、ヨイヤサー」とアップテンポに担がれる。この時に神輿は適度にユラユラと揺らされ神輿に取り付けられた鈴や飾り金具がシャンシャンと鳴り響くが、これは魂振りの所作でもある。これを激しく行うのが「暴れ神輿」となるが、たまに暴れすぎで金具を破損することもあるようだ。
また神輿は他の出し物とは違い神事でもあるので、最後は暴れ神輿の時の勇壮豪快な姿とは打って変わって厳粛に粛々とした空気に変わって神秘的な御霊移しが行われ、祭りの静と動を垣間見せる。

見所はやはり“宮入りPhoto_6

  さてざっと夏祭の見所を紹介したが、一番の見所はやはり宮入である。時間等は各所によって異なるが夕刻~夜が多い。 だんじりは後輪を担ぎ上げ回転して「マイマイ」を行い女の子達は踊り狂い、太鼓台は横転・回転しながら境内をところ狭しと練り暴れ、獅子舞傘踊りは獅子の本殿拝殿等への打ち込みなどの暴れ獅子を勇壮に奉納して、夏祭のトリをとる神輿は暴れ神輿の本領発揮とばかりに境内を練りに練りたおす。 夜祭の雰囲気がクライマックスをよりいっそうに盛り上げるのである。

〔筆者プロフィール〕
島崎 武(しまざき たけし) 
NPO法人日曜大学理事として活動。大学で社会学を専攻し
まちづくり研究をしているうちに地域の文化である“祭”にはまり、独学で研究を始める。
“天神祭を楽しむ秘訣”等の論文を数々の研究系会報誌に寄稿する大阪の祭専門家。

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2009年7月 2日 (木)

大阪・夏祭りサーキット

Photo_6大阪の7月は、祭り月です。

“愛染さんから住吉さんまで”と言われるとおり、6月30日の愛染さんから始まって、25日の天神祭でピークを迎え、7月31日の住吉さんで終わるまでの一ヶ月間、大阪の街では毎日どこかで夏祭りが開かれています。

一般的には、祭りといえば秋、です。作物の収穫の無事を祝う収穫祭は、田畑の稲がほどよく実り、肌に心よい秋風がそよそよと吹く季節に行われます。それが大阪ではなぜ夏なのか、という話ですが・・・

大阪の祭りのルーツは、夏の季節に多い疫病をはらうための「夏越のお祓い」(なごしのおはらい)にあります。過ぎ去った半年間の罪けがれを払い、残り半年を無事すごせるようにと、各地それぞれの社に参詣するのです。
つまり、大阪の夏祭りは、農村での祭りとはまた違った、人が集まり住む都市ならではの生活スタイルを反映したものなのです。

Photo_7茅の輪くぐり、七夕飾り、枕太鼓、龍踊り、お囃子、神輿・・・大阪の夏祭りでは、さまざまなイコンが交錯しています。また金魚すくい、射的、りんご飴といった昔ながらな屋台から、チョコレートフォンデュ、龍鬚飴(ドラゴン・ビアード・キャンディ)といった新興勢力までの様々な露店が立ち並び、非日常的祝祭性を醸し出しています。
そのブリリアントな雰囲気に惹かれて、家族連れ、浴衣を着たカップルから、お祭りウオッチャーまで、多種多彩な人たちが集まってきています。

この時期、大阪では、多い日には一日10ヶ所ものお祭りが集中しています。それぞれの町々で、それぞれの人々の願いを集めた夏祭り。派手なものも、つつましやかに行われている地元の祭りもありますが、そこには大阪のまちのルーツがちりばめられています。

大阪情報最前線では、夏祭りという、大阪が誇るべき資産に触れるべく、日々行われる祭りの現場に足を運び、その雰囲気や醍醐味をレポートしていきます。

みなさんも、大阪の夏祭りをサーキットしてみませんか?

***** 大阪の夏祭り 2009 ***********

6/30~7/2  愛染堂勝鬘院 愛染まつり(天王寺区)
6/30     住吉大社 大祓式(住吉区)
7/6~7/7  機物神社 七夕祭(交野市)
7/7     大阪天満宮 星愛七夕祭(北区)
7/7     安倍晴明神社 七夕祭(阿倍野区)
7/7     瀧安寺 開山忌・大護摩法要(箕面市)
7/7          金剛山 転法輪寺 蓮華大祭(富田林市)
7/7          星田妙見宮 七夕祭(交野市)
7/7~7/8   大津神社 夏越祭(泉大津市)
7/11~12   生国魂神社 いくたま夏祭(天王寺区)
7/11~12   白鳥神社 夏祭  (羽曳野市)
7/11~12   大森神社 灯籠祭(熊取町)
7/11~14   杭全神社 夏祭(平野区)
7/11~12   鵲森宮 夏例祭(中央区)
7/12~14  難波八阪神社 夏祭(中央区)
7/13     五社神社 夏季大祭(池田市)
7/13~14   茨木神社 夏祭(茨木市)
7/14~15   御津宮 夏祭(中央区)
7/15        八坂神社 夏祭(池田市)
7/15~16   玉造稲荷神社 夏祭(中央区)
7/15~16   大江神社 夏祭(天王寺区)
7/15~16   久保神社 夏祭(天王寺区)
7/15~16   五條宮 夏祭(天王寺区)
7/16~17   御霊神社 夏例大祭(中央区)
7/17        伊居太神社 例祭(池田市)
7/17~18   高津宮 例祭(中央区)  → 夏祭レポートはこちら。
7/17~18   東高津宮 夏祭(天王寺区)
7/17~18  瓢箪山稲荷神 夏季大祭(東大阪市)
7/17~18   露天神社 夏祭(北区)
7/17~18  海老江八坂神社 夏祭(福島区)
7/18     呉服神社 夏季例祭(池田市)
7/18     日根神社 ゆ祭(泉佐野市)
7/18~19  河堀稲生神社 夏季大祭(天王寺区)
7/18~19  堀越神社 夏季例大祭(天王寺区)
7/18~19  八王子神社 夏祭(東成区)
7/18~19  玉祖神社 本宮(八尾市)
7/18~19  感田神社 本宮(貝塚市)
7/19~20   野田恵比寿神社 夏祭(福島区)
7/19~20  春日神社 夏祭(泉佐野市)
7/19~20   塚本神社 夏祭(淀川区)
7/21        寺方の提灯踊り(守口市)
7/21~22   難波神社 氷室祭(中央区)
7/21~22  三光神社 夏祭(天王寺区)
7/21~23  坐摩神社 夏祭・大阪せともの祭(中央区)
7/24~25  大阪天満宮 天神祭(北区)
7/24~25  生根神社 だいがく夏祭(西成区)
7/24~25   佐太天神宮 夏祭(守口市)
7/24~25   道明寺天満宮 天神祭(藤井寺市)
7/25~26  渋川神社 逆祭(八尾市)
7/25~26   科長神社 夏祭(南河内郡太子町)
7/27~28  安倍晴明神社、安倍王子神社 夏大祭(阿倍野区)
7/30~8/1 住吉大社 住吉祭(住吉区)
8/1         恩智神社 恩智祭(八尾市)
8/1~8/2   一岡神社 祇園祭(泉南市)
8/3~8/4   石切劔箭神社 夏季大祭(東大阪市)

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